第4次レッドリスト,海岸植物の絶滅危険度の変化

 一昨日,環境省から第4次レッドリストが公表された.海岸植物について,2007年版から記載内容に変化があったものだけを以下にまとめておく.ここで対象とする海岸植物は澤田ほか(2007)(PDF)の掲載種とする*1


1.新規記載種,または2007年版から危険度評価が上昇した種
 ・ヤエヤマアオキ (新規記載,絶滅危惧II類)
 ・ソナレマツムシソウ(新規記載,絶滅危惧II類)
 ・キヨシソウ (絶滅危惧IA類, 2007年の絶滅危惧II類から2段階アップ)

2.2007年版から危険度評価が低下した種
 ・ヒルギダマシ(絶滅危惧II類, 2007年の絶滅危惧IB類から1段階ダウン)
 ・ネジリカワツルモ(準絶滅危惧, 2007年の絶滅危惧IA類から3段階ダウン)
 ・ウラギク(準絶滅危惧, 2007年の絶滅危惧II類から1段階ダウン)

3.種名(和名)の表記が変更された種
 ・ヒメウミヒルモ → トゲウミヒルモ(評価は従来どおり絶滅危惧II類)


 ネジリカワツルモのランクが絶滅危惧IA類(CR)から準絶滅危惧(NT)まで大きく下がっている.新たな個体群が見つかるなど状況の変化があったのかもしれない.あるいは,従来ただのカワツルモと同定されていた中にネジリカワツルモが含まれていたとかか?
 ウラギクの評価が下がっているが,本種のハビタットである塩湿地の状況は少なくとも本土域では良くはなっていないと思う.他の塩湿地植物(本土に分布するもの)の評価に変化がないなかでウラギクだけ評価が変わっている点,ちょっと気になる.保全の効果などで実際に個体群が増えているのであれば喜ばしい.
 おおまかにハビタットをみてみると,ランクが下がったのはすべて塩湿地または汽水域のもの.ランクが上がったうちヤエヤマアオキは海岸林,ソナレマツムシソウとキヨシソウは海岸の崖地や岩場のもの.

 ヒメウミヒルモがリストに見つからずにどういうことかといぶかっていたが,和名が変更されていただけだった.びっくりした.

【追記】草原生植物の要約もほしいところ.まず草原生植物のリストづくりからしなくてはならないのでちょっとたいへん.

*1:澤田ほか(2007)のリストに含まれない海岸植物があるが,ここでは扱わない.たとえばヤハズカワツルモは同リストに掲載されていないが,まぎれもなく海岸植物である.ヤハズカワツルモは第4次レッドリストでは絶滅危惧IA類で,2007年版から変化なし