漢語っぽい名前、おぼえるの苦手

 なぜか僕は漢語っぽい名前の植物名を覚えるのが苦手で、モノと名前が一致しなくて、そのせいでモノの特徴も覚えられない。覚えられないものだから、僕を混乱に陥れるややこしい漢語っぽい名前の植物がどれほどあるのかもよくわからず、なんとなく10くらいはありそうな気がしていた。「琉球の樹木」をぱらぱらとめくりながらどれだけあるか数えてみたら、モクレイシ、コクテンギ、ギョクシンカ、コンロンカの4つくらいではないか。たった4つの漢語っぽい種名に翻弄されていただけだった。まとめて覚えてしまえばこれからは悩まなくて済むではないか。
 モクレイシは小判のようなのっぺりした葉っぱのニシキギ科のあいつだ。コクテンギは海岸沿いでよくみるときどき三輪生がまじるマサキっぽいニシキギ科のあいつだ。ギョクシンカは日陰で育てたコーヒーノキにも似たアカネ科のあいつで、シマミサオノキとも似てるやつだ。コンロンカはつるのアカネ科で蕚が白くなって黄色い★の花が咲くあいつで、ハナガサノキとも似てるやつだ。
もうだいじょうぶだ。きっと。いや、まだまだだ。アカネ科のぬかるみは深いぞ。

圃場整備での畦畔草原の保全

 今年度から来年度までの2か年で圃場整備が行われることになっているI集落は、島内でも指折りの優れた棚田景観がひろがっており、また、農村の生物相が大変豊かな地域である。今年度のはじめにここの圃場整備について、環境への配慮として畦畔草原の保全ができないかと行政の担当部局に問い合わせた。4月に行政との打ち合わせを行い、圃場整備の内容を伺った。設計は(当然ながら)完了していて、あとは工事をするだけ。設計の変更はこの時点では当然無理。できるとしたら畦畔法面の緑化方法で、表土リサイクルなどの可能性はある。ただし、地元の要望で、基本的には抑草のためにセンチピートグラスで緑化する。環境への配慮については、学校と土地改良事務所と地元との協働でなにかしらのことを実現していきたい、ということとなった。
 そこで、勤務先大学院の授業のうち数回をここでの活動に充てることとした。
 まずは5月、学生たちと工事がはじまったばかりのこの地区に入り、畦畔のフロラ調査を実施した。保全対象とするような畦畔の有無を確認し、それが集落内のどのあたりにあるのかを把握することが目的だった。この時点ではほとんどの畦畔がまだ工事着手前だった。植物を勉強し始めの学生たちによるフロラ調査の結果、草原生植物の多様性が高く、外来種が少ない畦畔は、集落の上流側に分布している傾向が見受けられた。集落中心部の畦畔は意外と外来種率が高かった(のちに、この外来種率の高さは牛の飼育をしていることと関連していることが地域の方への聞き取りで判明した)。保全するなら集落の上部の畦畔だと決まった。
 6月の授業では、行政の担当部局の方、地域の農家の方といっしょに、種の豊かな畦畔を見て歩き、この畦畔草原を圃場整備後の畦畔に移植することを提案し、一部の畦畔で表土リサイクルを行うことを了承していただいた。5月の調査時にも地域の方へのあいさつはしており、調査目的も伝えていた。行政の方からも地域の方へ連絡が入っており、地域の方が保全のことを前向きに考えて下さってありがたい。中山間の農家の方の除草負担がたいへん大きいことが分かっているだけに、これはほんとうに感謝すべきこと。工事は5月よりもずいぶん進んでいて、学生たちは風景のかわりっぷりに驚いていた。
 そして今日、工事が進む工事現場で、行政の担当者といっしょに具体的に表土をはぎとるべき畦畔を確認する作業をした。1年生の学生は別の先生の必須科目があって来れなかったが、2年の学生で興味のあるものがついてきた。棚田のあぜ13本を見ていくと、あぜごとに外来種率や、保全対象とする種の豊かさなどで違いがあった。13本のあぜのうち3割くらいがぜひとも残したい植生をもっていた。これらが13段のうちの上部に集中していた。工事業者にも来ていただいて工事行程をたずねてみた。切り盛りを伴う土地造成は「上からついていく」のが基本なのだと教わった。だとすると、上部の畦畔表土をリサイクルするには、剥ぎ取り後にしばらく保管する必要がでてくる。できれば、保管期間なしで、剥ぎ取り後、できあがってる法面にすぐに貼りつけたい。そのへんの話をして、いっしょに図面をながめてみる。これから造ろうとしている圃場では、中段付近を横断する道路が1本ある。これをみた業者の方が、「この道路あたりの造成を先行することはできると思う」と言ってくださった。それであれば、中段の法面を造成後に上段の表土を剥いですぐに貼りつけることができる。本当にその行程ができるかどうかは持ち帰り検討してもらうこととなったが、うまくいけば上部の表土をリサイクルできそうだ。今日の作業では図面上に畦畔の保全適否を書き込んでいったが、現場の畦畔に直接テープなどでマーキングすべきだった。ピンクテープやピンポールを大量にもってきたらよかった。これも勉強。
 今回の保全対策は、工事開始年からの参画なので、植物にとっての最良の手が選べない状況で行っている。早い段階で参画できれば、移植時期や残し方などでもっとよい方法を選べる可能性もあったとは思う。でもそれは今後のための教訓であって、いまやるべきは、この場所でいまからできる最善の方法を選択していくこと。気になることはいくつもある。全体の工事行程上、表土の移植は8月から9月に行われる可能性が高い。植物の移植にもっとも適さない時期だ。本当は冬がよい。そもそも畦畔草原の表土を重機で転圧して植物がでてくるかどうかもわからない。また、法面の傾斜をつくった後にその上に表土を張り付けるので、表層が滑ることがないとも言えない。今回は大規模には実施せず、あくまでも実験として行うほうが失敗したときの痛手(今後の保全への忌避感がうまれるなど)を避けられる。
 とりとめもなく書いてるが、半分は自分用の覚書。まずは、いまからできることを考えながら実施し、やってみることで学べることを学ぼう。次年度工事区によい畦畔があれば、そこだけでも冬場に移植してもらえるかもしれない。できることをやってみてモニタリングをしていこう。

大阪自然史博の特別展「石は地球のワンダー」行ってきたので小並感をまきちらす

 4月22日午後1時すぎに入館。そこそこの入り。ガラガラではないが、さほど混雑しておらず、ゆったりと楽しめた。事前にどなたかのtwitterで子供向きのワークシートが示されてて、楽しみにしていたが、今日は会場には置かれてなかったようでちょっと残念。僕が気づかなかっただけかな。
 これまでの特別展だと、おそらく伝えたいトピックスやストーリーがまずあってそれに見合う標本を並べている。一方、今回の特別展では2人のコレクションがまずあって、それを観賞することがメインなのだろう、全体に解説は控えめで順路の指定もない。コレクションから何を読み取るかは来館者の自由。このコレクションすげーと感嘆するだけでも十分なのかも。
 いつもはイケアのように曲がりくねったレイアウトのネイチャーホール。今回は四角いままの巨大な空間。右半分が金澤芳廣化石コレクション。左半分が北川隆司鉱物コレクション。
 鉱物コレクションはまず鉱物の美しさと大きさに圧倒され、これが地面の中で自然に生まれていることにワクワクし、鉱物の多様性にもほれぼれする。こどもにどれが好きかを聞いてみた。小4の子は紫水晶と桜石を推す。小2の子は自然硫黄と真っ青な岩塩とコスモクロア輝石がきれいだと言った。僕は黄鉄鉱の六面体結晶のでかさと輝きに惚れた。カリ長石のあほみたいな大きさにおどろいた。針鉄鉱はクギのような力強さ。砂漠のバラは球状にまとまって群体を成し、ハマボウフウの若い果実のようだと思った。透け透けの白雲母の大きく薄い六角板状結晶はその壊れそうな繊細さにどきどきし、扱いがたいへんなんだろうなと思った。淡青色の蛍石はおいしそうだった。忍石はただただすばらしい。地学の知識があればさらに楽しめるだろうが、残念ながら僕はこどもとたいして変わらない感想だけを抱いている。でも十分たのしい。
 化石コレクションはカメとハドロサウルス類については、僕の想像力と観察力が追い付かなくてよくわからなかった。アンモナイト、エビカニウニ、それと植物化石の一部(木本シダの幹など)は説得力がある形状で楽しい。四国〜大阪あたりにあった海盆にこんなにいろいろなアンモナイトがいたことが面白い。小4の子は「なんで種類ごとに場所がきまってるん?」と僕に聞いてきたが、それ、僕も知りたかった。あと、これらが同時期に生きてたのか、ズレがあったのかも気になった。展示されてるアンモナイトは10種強あったかな。これらの種類別の化石産地と生きていた年代の一覧があるともっとおもしろいのになあ。あと、やっぱり化石だから殻の全体のカタチがわかるのとわからんのがあって、化石として鑑賞するならこのままでもいいんだけど、いきものとして見たいから、殻の全体像のイラストを見たいと思った。「和泉層群のアンモナイト図鑑下敷き」があったら5枚は買う。片面は全体像のイラストが並んでて、もう片面は化石写真が並んでるやつ。うわー。めっちゃほしい。ノジュールを割ってクリーニングして再びノジュールをくっつけた標本、むちゃくちゃかっこいい。これ、ライトのコードが見えてるのがちょっと興ざめで、コードなしで光源が中に入ってたら芸術点がいまの5倍くらい付くと思う。カニは、手のひらサイズのノジュールで、かわいらしい。リヌパルスのエビの化石はやけに新鮮でよかった。化石産地の半分くらいが淡路島だったので子供たちもうれしかったようだ。二人ともディディモセラスに惚れていた。
 さいごの都道府県の石のコーナー。鳥取県の岩石が「砂丘堆積物」であることを初めて知った。砂だ。それを県の岩石と言い切る鳥取、素晴らしいと思った。岡山の万成石と広島の花崗岩はどこがちがうかよくわからんかった。
 特別展を見た後は本館へ移動し、こどもたちが「キラキラぴかぴか石さがし」のワークショップに参加。こちらは大盛況でかなりごったがえしていて、担当の方がたいへんそうだった。「石」テーマでこどもをここまで食いつかせるのはすごいと思った。

おぼえがき

 今後のために発表までのtmさんの作業の流れをメモしておく。1月中旬までは論文書きにいそしんだ。1月16日ごろ、論文作成は途中ではあったがいったん棚上げし、発表要旨(4ページ)の作成に切り替えた。発表要旨を1月26日に提出。微修正をして27日再提出。そこから1日休憩し、29日には聞き取り調査を1件追加。1月30日より予備審査のプレゼン作成にとりかかる。2月3日の予備審査は時間制限なしで、24分ほどの発表となった。予備審査のあと、6日より、最終発表のプレゼンと論文を並行して進める。論文を12日(日曜)に完成させ、月曜は製本のみを残す。月曜の昼、製本して提出。その後、最終発表のプレゼンをゼミ教員で確認し、ダメ出し。前夜20時すぎで大きなダメ出しがあり、イントロを大幅に改訂するはめに。深夜に改訂。発表時間を調整するために原稿を作成。12分に収めるに3400字を目安とした。

卒業演習をすすめる上でよかったこと

 今年のtmさんの研究を進めるうえでよかったことがいくつかある。ひとつは地元の方にtmさんのテーマに興味をもっていただき、すごくたくさんの協力をしてもらえたこと。それなしに成り立たない研究だった。つぎに、研究を始めて半年ほどの⒑月に植生学会で発表したこと。そのときに、方法の不備についてお叱りをうけたり、有益なアドバイスをいただいたりしたことがすべてその後の血肉となった。3つ目は、研究科でも厳しいことで知られる教員に予備審査の副査をおねがいしたこと。tmさんは、周りの学生から「勇気あるなあ」といわれたそうだが、2名の副査の方のするどい指摘はその後の改訂にとても有益だった。4つ目は、2月上旬に生態学会の要旨を書いたこと。そのころ、発表の流れをつくるのに苦労していて、どうやっても20分を切れなかった(規定時間は12分)。800字制限の要旨を書いたことで、どこまで削れるか、最後に残すべきエッセンスはなにか明確になった。まとめの段階で800字の作文をするのはすごく効果的だ。

発表会

 今年も実践演習発表会の日となった。修論発表会に相当するが、当研究科では研究室配属がM1の終わりごろなので、世間一般の修論よりも研究期間が短い。
 当研究科ではゼミは3つに分かれていて、各ゼミに研究室が4〜5つある。発表会はゼミごとにセッションを組んで、順番に進める。ことしはうちのゼミは午後1番目のセッション。
 午前中のセッション、1人目の発表はジオパーク認定を目指す離島での岩石資源の保全活用に関する研究。僕好みのおもしろい内容。室戸台風以前にこの地域の海岸でみられた石組の防壁がいま2つだけ残っているとのこと。見に行きたい。4人目、商店街の活性化のために、やや離れた観光地と結びつけて人の流れをつくるプロジェクト。そのためにルートの中間にくつろぎスペースを施工した話。施工そのものより、前段で話をしていた町全体をつなぐエコミュージアム的なプランとそのロジックがよいと思った。そちらをしっかりと紹介してもよかったかも。
 午後に入ってうちのゼミ。自分の受け持ち学生tmさんは、かつての製炭集落で過去の植生景観を推定するもの。現地調査、炭焼きに携わった方への聞き取り、空中写真判読、古い農林統計の整理など、盛りだくさんな内容を時間内にどう伝えるかが難しく、また、研究の意義を説明するのも苦戦して、前夜まではイマイチ面白さを表現できていなかったが、夜中にちゃんと修正した。発表のときは無駄のない話し方で、彼女のこれまでのプレゼンの中でいちばんよくできたと思う。つづくyg君は氾濫原植物の生育立地に関する研究。これまで苦手だった質疑応答をちゃんとできたのはよかった。
 最後のセッションでは人工地盤に植栽された樹木を掘り起こして根のスケッチをしたものが印象にのこった。健全な樹木と衰弱した樹木を同種で比較できない点は難のある研究だったが、根系スケッチの美しさと緻密さがすばらしい。
 15人の発表が終わって1時間ほど審査の時間があってから最優秀賞の発表。tmさんの名前が呼ばれた。今年は全体におもしろかった。手を抜いた風な学生がほぼいなかった。そんななかで選んでもらえてよかった。

竹を伐る日

 道路をはさんだ南側は竹林で、ここの竹がのびてくるとうちの庭の日当たりや洗濯物のかわきがちょっとわるくなる。竹林の持ち主のNさんからはいつでも伐っていいよと言ってもらってるので、今日は竹を伐る日。
 庭から見て飛び出している稈に見当をつけ、笹薮を漕いで竹林に入ってめあての竹を伐った。倒す方向がわるいと電線に架かるので、ここの竹を伐るのは緊張する。6〜7本ほどの竹を伐り、ついでに、運び出すのに邪魔になるアカメガシワやハゼノキ数本を伐り、これらをずるずると80mほど引きずって畑まで、何往復かして運んだ。ほどよい数本の稈は使う当てはないけれど、とりあえず庭に残しといた。
 畑で竹を玉切りして、枝を落として、小さくした。乾いたら燃やす予定。