自由集会の後が自由すぎて楽しかった日

 朝10時半ごろから昼すぎまで,A見さんと,とある自由集会で扱われるネタについて意見交換.なんか思いつくまましゃべったが,お役に立てたかどうかは心許ない.その後,その自由集会でどういう展開になったのか気になる.こんど聞いてみよう.
 学食で龍谷ランチを食べる.いかにも学食的なチープなハンバーグとコロッケ.僕はコロッケさえあれば満足だ.日本にコロッケがあって本当によかった.
 昼からポスターを見て歩く.津波による植生被害関連で聞きたいのがいくつかあったが,発表者独占状態の質問者がいたりして,全部は聞けなかった.口頭発表の会場でも,ポスター発表の会場でも,貴重な質問時間をみんなでシェアしよう,というキモチをつねに持つべきだよ.ねえみなさん.
 ポスターに疲れた頃合いで口頭発表I会場へ移動.半自然草原関係の発表や,耕作放棄が普通種を絶滅においこむといった発表を聴く.口頭発表のあとは,この日の僕のメインのおたのしみ.夕方からの自由集会.W29「絶滅危惧生態系ってなーに?」を聞く.
 タイトルから想像していたものは,生態系のタイプ分類を細かくおこなった上で,生態系として絶滅に瀕しているタイプが何かを提示するようなもの,だったが,そうではなかった.そうではなかったが,とても興味深い内容だった.
 小笠原の話では,いくつかの事例や視点が提示されたが,そのうちのひとつがとくに気になった.なにかというと,生態系のうちの主要メンバー(海鳥)が欠落することによって物質循環に影響がでている可能性の指摘.これは,場としての生態系を類型化して認識していても埒があかないことを示している.生態系の機能もふくめた検討が必要.
 チスジノリの話は,場だけではなく攪乱といった動態が大切であることを示すもの.また,バイカモの話は個体群維持のための場がシンプルな1つの類型だけに収まらず複数の類型にまたがること,そして,通常時にはあまり大きな意味をもたない場所が,大攪乱時にはクリティカルに効いてくることを示していた.チスジノリバイカモも,個別の種の生きざまを細かくみることで,その種が必要としている場や動態を見極めていくものだった.
 これらの発表からは,生態系の類型区分では守れない生き物やプロセスが多々あることを考えさせてくれた.僕は根っこが植生屋さんであり,植物社会学も少しは学んだので,本来複雑で多様な自然をあえて認識可能なレベルで類型区分することによって(保全などにおける)実務的なメリットがあるだろうと,(十分に検討せずに)信じているふしがある.だが,生き物の生きざまや,生態系の機能をきちんと見ていくほど,それだけでは収まらないことがいくらでもあるということもよくわかる.
 とはいえ,十分な種情報が得られない場合などは,生態系の類型区分が有用ではないだろうか.コンサルに勤めていた10年以上前,僕は生態系の類型区分を利用した戦略アセスに近い内容の業務をいくつかこなしている.
 場や動態だけで類型区分をおこなうのは心許ない面がたしかにある.このため,適切な指標種を抽出し,それを加味することで,類型区分をより高精度かつ有用な手法(自然の認識のための手法)にしていけるのではなかとも思う.
 そういう思いがあったので,質疑応答の際に,「生態系RDBや特定植物群落が『固有の場所』指定であるのに対し,生態系の類型で指定するものも有用ではないか」という質問をしたのだった.そのさい,コメンテーターのN廣さんは,画面に「場所の指定か,タイプ指定か」といったことを書かれたが,ぼくは「場所の指定だけでなく,タイプ指定も」というキモチでいた.
 さあ,この楽しい自由集会のメンバーで懇親会だ.瀬田のつぼ八で飲み始めた.はじまりはビール.そのうち日本酒を少し味見したらおいしかったので,これをぐいぐい.さらに主催者の方がノリノリで注いでくれるワインをがばがば飲んでた.前日・前々日の懇親会は自己紹介タイムがなかったが,この日はそれがあった.自己紹介とともに「あなたの思う絶滅危惧生態系」を述べよ,というものだった.一人一人,たっぷり時間をかけて自分の思う絶滅危惧生態系を述べていった.ここがとてもとてもとてもおもしろかった.やはり場所指定の人と,類型指定の人がいた.僕は,「砂丘後背湿地」を絶滅危惧生態系として挙げた.ユビソヤナギを研究していたというS村さんは,ユビソヤナギが生育するような,渓谷狭隘部の堆砂地を挙げておられた.ほかにもいろんな人がいろんな視点で絶滅危惧生態系を提示していった.これ,だれかメモとってないのかな.ほんとに楽しかったんだけど.
 で,この自己紹介が楽しすぎたのがすべてのはじまりだったかもしれない.一次会がおわって23時ごろ.すでにいい具合にできあがってたはずだ.こんなに楽しい飲み会が終わるのが切なすぎて,まだまだ足りないよー的なキモチになってしまって,二次会へ突入.ここでもがばがば飲んでたらつぶれてしまった.飲みつぶれるなんて,10年以上ぶりだ.お冷やをもらって「これであと10年たたかえる」とかいいつつ,起き上がって一口のんで,やっぱりつぶれた.「どこがあと10年だ」と総ツッコミをうけた.ツッコミの一体感がここちよい.この店は3時閉店で追い出される.もう電車なんかないから必然的に完徹決定オールナイトで,瀬田に朝までやってる店なんかあるのかとかいいながら歩いてたら,都合良く目の前にカラオケ屋が出現.閉店する5時まで飲んだ.7割以上が初対面というコミュニティで朝まで酒飲んだのはじめてじゃないかな.これが自由すぎる自由集会の顛末です.