ポートアイランドには近づくな

 いま神戸ポートアイランドでは神戸新聞社主催、兵庫県および神戸市の教育委員会の後援で恐竜をテーマとした展示をやっている。あまり事前情報を検討せず、ほとんど何も考えずにとりあえず行ってみた。とりあえず行ってみたと簡単に書いているが、淡路島から家族でこれを見に行くと、海峡を渡る交通費と入場料(大人1300円、3歳以上の子供900円)とでなんだかんだで8000円ほどの出費である。
 感想。見世物小屋だった。感動も興奮もなかった。
 入場したら、まず最初に子供向けの恐竜図鑑でえられる程度の知識がパネルで示される。伝える工夫も魅せる努力もほとんど感じられないパネルがずらずらならぶ。そのあと、恐竜やその他生物の化石(レプリカ含む)が数十点並んでいるが、近寄れない柵があるため1mくらい離れたところから眺めるのみ。また、これらに脈略やテーマ性があまり感じられない上、化石や生物についての解説は乏しい。そのつぎにハンズオン展示いくつか。ここで角竜の角の化石に触れられたのが個人的には唯一のもりあがりポイントだった(でも、なんかあやしいのだけど)。そこをすぎたら、この展示会の最大の呼び物らしき、巨大ロボット恐竜のコーナー。ティラノサウルストリケラトプスやプロトケラトプスやその他もろもろ。子供やらカップルやらで賑わっている。出来のよいものもあるが、キッチュなものも目立つ。どの恐竜もやたらと大声で吠えてるのが見世物小屋感をかもしだす。しかもその鳴き声がオッサンの叫び声みたい。たぶんオッサンがCV担当してると思う。初代ゴジラの工夫を見習ってほしい。このなんだかまがまがしいロボットコーナーがおわると赤青メガネによる恐竜立体ポスター展示、そして物販コーナー。子供の大好きな恐竜フィギュアやシールなどがワゴンに山積み。最後の最後は、ちかごろ民間や指定管理の社会教育施設で定番化しているアレ、ベネ○セが粗品と引き換えに個人情報を収集するクイズラリーの景品引換所。
 恐竜で感動と興奮を味わいたかったら(本物に触れる喜びと、好奇心の刺激される快感を味わいたかったら)ポートアイランドには近づくな。三田行け、三田。でも、怪しさを味わいたかったらポーアイでいいよ。
 このウェブ日記ではあまりネガティブなことは書かないようにしているつもりだが(それでもネガティブな記事が散見されるのは僕の人間が小さいからですよ、うふふ)、今回はわざわざ書いた。いくつか気になることがあったから。
 ひとつ。これなんで教育委員会が後援してるんやろ。教育委員会は中身を見たうえで後援を決めたのか?内容に衝撃を受けた僕は帰宅してネットでこの展示のタイトルで検索した。あちこち巡回展示しているものなので、全国各地の新聞社や地方放送局主催でこの一連の展示をおこなっていることはすぐにわかった。しかし、主催の新聞社やら放送局の名前はでてくるが、このパッケージを新聞社やら放送局に貸し出している主体(売り込んでいる主体)がなんなのか、そして、どのような専門家がこれにかかわっているのか、そういった情報がぜんぜん見当たらなかった。ほんとうに信頼できる内容なのだろうか。
 もうひとつ。きわめて大衆迎合的というか、なるべくたくさんの人のウケをとってお金につながるラインをねらいましたよ、という感じがうすら寒かった。なんでもかんでも市場にまかせればうまくいく的な言いようをしばしば見かけるが、それではうまくいかない例というか、風刺的ですらあるこのありよう。
 やはり博物館は未来への投資(次世代の科学への興味や科学の芽をはぐくむ場)として、社会が支えるべき施設なんだという思いを強くした。



 語彙不足。ちゃんとつたえたいことがつたわったか不安。10年前より僕の語彙が減ってる実感。

(追記) このイベントのタイトルから博物館的なものを期待したから,上のような感想になった.最初から遊園地アトラクション的なものと割り切っていけばいい.