農民車イベント

 チキチキマシーンが再々々々入院してしまったので長野で開催されてるFBMに参戦できず。
 そこで、気になってたアートイベント「要解 農民車」と「淡路島農民車ミーティング」を見に行ってきた。このイベントは、ログズギャラリーというアーティストグループが主催。
 講演会開始時刻ちょうどに会場のクボ倉庫に到着して入口へと向かっていたら、倉庫のなかから農機エンジンのぱんぱんいう音が響き始めた。薄暗い倉庫におそるおそるはいっていくと、製作者の方とお客さん数名が、排気音をけたたましくひびかせる農民車を囲んで談笑し、運転席に上って写真をとったりしている。僕もこの農民車にのぼらせてもらった。着座位置が高くてみはらしがよい。ウッドステアリングがおしゃれ。同行した同じマンションの6歳児も運転席に座って満足げ。 
 講演会はラフな立ち話といった感じ。ログズギャラリーのお二人が淡路島の農民車にインスパイアされて農民車を自作するにいたった経緯や、そのプロセスについて語っていた。またその際に取材協力された農民車オーナーの方からのお話もあった。
 その後で映画の上映。内容は、ログズギャラリーの方による農民車の取材そのものだった。淡路島の農村風景を走る農民車、農民車とともにある農作業、農民車オーナーや製作者へのヒアリング、これらの状況が長回しのカットのままで、おそらく意図的に荒々しくつなげられている。音響もまた荒々しく、風の音をマイクがひろいまくりで、三原平野の風の強さを音で感じる。このむき出しの荒々しさや素朴さはアメリカのニューシネマをなんとなく思い起こさせた。しかし、編集や音響の荒々しさとは裏腹に、内容は実に丁寧で農民車愛にあふれるものだった。玉ねぎ農家で使われる自動車エンジン搭載の大型農民車から、高島AT85型の未再生原形車、はては畜産農家が使用する稲わらを運搬する小型農民車(荷が軽いから非力でよい)まで登場し、さらに工作好きな農家の方によるさまざまな自作機械が登場。AT85のカタログも画面に映った。曲がりくねった農道を農民車がゆるゆると進んでくる映像や、玉ねぎ畑の畝を斜めに横断しながら車体をおおきく揺らして進む農民車の映像などは、ほれぼれするほどかっこよかった。
 展示されていたログズギャラリーの自作農民車は、メインフレームジムニーから流用している。すこし青みがかったダークグレイで全体が塗られていて、とてつもなくスタイリッシュ。タイヤはショルダーの角ばったかっこいいやつを履いている。とりいさんや荷台はエクスパンドメタルでこれまた渋い。製作者によるとマッドマックスなイメージだそうだ。たしかにいわれてみればそんな感じもする。が、ものが農民車なのでそこまでワルげな感じにはならない。フレーム前端のとんがったところはワルげだったけど。展示の仕方がまたうまい。床からのライティングでかっこうよさがきわだっていた。


 洲本のアルチザンスクエアで開催されている農民車ミーティングはあいにくの雨のため、展示車両がシートで覆われていた。しかし、その様子がまた、輸送中の兵器のような迫力をかもしている。ふくろをかけていてもどれがどのタイプの農民車か想像ができる。