タネ採りをして食害率の高さにうなる

 研究用に植物のタネあつめ.今回の狙いは,ツリガネニンジンとシラヤマギクほか数種類.シラヤマギクはよく熟した頭花では,ほぼ全てが虫による食害をうけている.虫はなにかわからないが芋虫系の白い幼虫で,シラヤマギク頭花中央部で果実をかじりつつ成長し,その頭花についている果実をまるごと自分の繭として利用してしまうようだ(何の虫か知りたい).キク科の頭花なので,痩果が数多くついているが,その中央付近の十数個がかじられており,外縁の1重のみ無傷,あるいはそれらも食べられて外側の果皮のみのこっているような状態.
 一方,現時点でまだ熟し始めていなくて白いような果実はほとんど食害をうけていない.これは,「開花期がおそいものは食害をまぬがれている」のか「熟し始めた頃に食害がはじまる」のかどっちだろうか.虫の発生期よりも開花期を長くばらつかせることで果実が食害をうけにくいようにする,というのは十分にありそうだと思う.が,それができるためには,虫の方がフェノロジーをばらつかせにくい,という制約が必要か.
 いずれにせよ,タネあつめをしていると,野外におけるタネの食害率の高さにびっくりする.とはいえ,種類によるちがいもあって,ほとんど食害をうけていないように見受けられる種類もある.また,種間差だけでなく,同じ種類でも場所による違いがあるかもしれない.以前,海浜植物のタネをあつめたときには,ある海浜ではほぼ100%食害されていたハマニガナが,そこから数キロ離れた別の海浜ではほぼ無傷,ということもあったので.
 ということは,野外での植物のタネの食害の率は,植物の種類によっても,場所によっても,時期によってもちがっていそうだなあ,といことか.えらいしょぼい観察やな.