I小学校での授業

 I小学校での授業.午前中は1・2・3年.
 1年生と2年生は身近な野生植物に親しむためのあそび.実やタネをあつめて,紙粘土とくみあわせて作品づくり.「かっこいい作品にするコツはいろんな色・形・大きさのいろんな種類のタネを使うこと」と言ってそそのかす.1・2年生は学生3名にまかせた.適宜観察をとりいれながら作品づくりをたのしんでもらえたと思う.
 3年生はみちくさ散歩.「みちくさを食う」はいまでは死語.小学生20人のうち2人しかその意味をしらなかった.というわけで,道草を食いながらの散歩.ヒナギキョウのタネの大きさ予想と実物の観察.スイバ,カタバミの味見(予定ではほかにも食べるつもりだったが時間がたらず),ヘクソカズラの匂いを楽しむ,そしてエビヅルのジャムづくり.この日はパン給食と聞いていたが,いってみたらご飯の日だった.しかたなく,職員室にあった先生のおやつ(カントリーマアム)にエビヅルジャムをつけて試食会.パン給食じゃないと分かっていたら,あらかじめクラコットなどを用意しておいた.来年度からはそうしよう.エビヅルジャムはプルーンのようなコクのあるおいしいものになった.
 4・5・6年生は「木の実のめぐみ」と題した授業.木の実と人のつながりをたのしむ.祖父母および父母を対象としたインタビュー課題を提出してもらって昼休みに集計したところ「自然に生えている木の実をたべたことがある」という人は,祖父母世代の8割,父母世代で5割だった.祖父母・父母がたべていたのはヤマモモ,グミ,シイ,アケビキイチゴ.シイはかめばかむほど甘かったという.山ぶどうという回答もあったがおそらくこれはエビヅルだろう.4〜6年生の児童に聞いてみると,野山の木の実を食べた経験がない子がほとんどだった.ぜひとも木の実をたべねばならない.
 つづいて「渋柿を加工してたべたことがあるか」とのインタビュー.この回答も世代が下るほど経験者が減っていた.児童にきくとごくわずか.さらに「渋柿を食べる以外に使ったか」との問いへのこたえが興味深かった.祖父母世代では,漁網や釣り糸に渋を塗ったというもののほかに,つけものの味をととのえるのに使った,というのがあった.つけものへの利用は聞いたことがなかった.どういう使い方か,詳しく聞いてみたい.
 これらのインタビューをふまえての木の実をもとめての散歩.くえないものもいくつか味見をした.ツタは一瞬ほのかに甘酸っぱく,ブドウっぽいやんと思わせた直後にもうれつな辛みが味覚を上書きしてくる.ヤナギタデのようなきつい辛み.これ,ツタにとってはどういう意味があるんだろう.1度に食べつくされずに少しずつ散布されることでいろんなところに運ばれる利点があるといった話を聞いたことがあるが,実際のところはどうなんかなあ.午前中に3年生がとりのこしていたエビヅルをたべ,クコの実をたべ,エノキをたべた.いよいよつるし柿の材料をあつめようとしたら,予定していた木が予想外の甘柿.時間がおしていたこともあり,急遽つるし柿をあきらめ,下見のときに確認していた別の渋柿をとりにいく.渋いという味覚を児童らが知らなかったので,ともかくこれをあじわってもらいたいと思っていた.全員にシブを体験してもらった.児童おおさわぎ.阿鼻叫喚.
 この日は高枝ばさみを持って行ってたので,高いところのカキもたくさん採れた.タネ授業では必須アイテムだ.とてもべんり.