ゼミ初め

 新年最初のゼミ.部門ゼミは来週からで,今日は研究室のみのミニゼミ.3人の学生の卒業研究の進捗を確認.ゼロ稿の提出は遅れているものの,研究の進捗はよい方向をむいている.
 学生たちは論文をまとめる忙しい時期で,僕はヤラネバがたてこんでいるが,ひさびさにミニゼミ散歩(研究室のゼミでは近所を散歩することにしている)を開催し,近所の未整備の田んぼとその周辺をぶらぶらした.
 1日遅れだけど,七草粥の材料を集めることにした.春の七草といえば,せりなずなごぎょうはこべらほとけのざすずなすずしろ,であるが,少なくともスズナは難しそうで,全部が揃いそうにはない.しかし,この7種とて,時代によって様々であったというし(※),ひょっとしたら,地域によっても異なっていたかもしれない.カシワモチみたいに.というわけで,この田んぼとその周りに生えている草で,粥に入れられそうなものをともかく7種あつめることとした.
 セリ,ハコベハハコグサはすぐに見つかった.休耕田のセリは,イグサの枯れ株に埋もれるように生えているものは鮮やかな緑色でおいしそうだったが,日当たりの良い(あるいは霜にさらされている?)場所のものはやや赤紫がかっていていまいちだった.休耕畑には都合良くダイコンが雑草化していた.食べられる草ということで,ヨモギが参入した.休耕田にはタネツケバナがあった.すこしかじってみたら,ダイコンの葉とおなじような味がして,それにほんの少しの辛みがまじっている感じで,なかなかオツだったので,これも取り入れた.あとひとつ.ノゲシをかじったけど固くなりすぎていてイマイチだったのでパスした.スイバをかじった.学生はスイバを食べたことがなかったらしく,その酸っぱさにおどろいていた.粥には合わないかもしれないが,下ゆですれば酸味はかなり抜けるだろうから,最後の1種はスイバにした.セリ・ヨモギゴギョウハコベラタネツケバナ・スイバ・スズシロ,というわけで,そこそこ語呂のよい七草が集まった.すべてKさんが持ち帰った.あとで感想を聞かせてもらおう.
 シャシャンボの実がたわわに実っていた.これはジャム用に採取した.学生のOさんは「天然酵母を起こすのに使えそうだ」と言った.彼女は酵母を起こしてパンを焼く趣味がある.ぜひシャシャンボで酵母をおこしてパンを焼いてもらいたい.
 冬らしく,鳥がたくさんいた.メジロがチーチーないて,シロハラがピョコピョコ鳴いた.学生たちにじっくり見せてあげたかったが双眼鏡をわすれてきたのが残念だった.ノスリアカマツの枯死木にとまっていた.これはわりと近かったのと,光の条件がよかったので,肉眼でもよくみえた.Kさんは「白い前掛けをしている」といった.H君は「フクロウみたいにふわふわ」といった.たしかにそんな感じ.


 
湿田でイグサかきわけセリを摘む.



シャシャンボおいしい.ちょっと酸っぱい.


※「植物と行事−その由来を推理する」(湯浅浩史著,1993年,朝日新聞社発行)