地元の方との交流

 M君は卒業演習で、淡路のとある海浜で「人間の活動と植生の対応」について詳細な研究をしてきた。今日の夕方、その成果を実際の保全に役立ててもらえないかと、M君は地元の人の集まりに参加してプレゼンをした。ぼくもついて行った。M君はしっかりと準備をし、たいへんわかりやすいプレゼンをした。プレゼンの最中にも地元の方々からいろいろな質問がとびかって、活気のある発表だった(このようなプレゼンを卒業発表会でしていたら、審査の先生方からもっと高い点数をもらえたにちがいない)。今回M君は、研究結果から導かれる保全プランを提示した。地元の方々との対話の中で、実際にはいろいろと現場の事情があって、提案した保全策は簡単には導入できそうにないということがわかった。こちらの気づかなかったいくつかの条件があったからだ。それでも、そういった現場の事情を、現場のひとから直接聞き出せたことは、今回の集まりに参加したことの大きな収穫だ。また、地元の年輩の方からは、過去の海浜についていくつかの重要な情報を聞き出すことができた。とくに過去にここの海浜でどのような人為攪乱が為されたかという話は、M君のデータを解釈する上でもたいへん有益だ。こういう場をセッティングしてくださった方々に感謝したい。
 M君の成果を現場での保全につなげていくには、地元の人々にその気になってもらわないことにははじまらない。海浜の自然に興味を抱いてもらえるような働きかけ、あるいは海浜の自然を地域資源としてみなおしてもらえるような提示の仕方を工夫する必要がありそうだ。