送別会・置き土産

 この3月で学校を去る3名の教員の送別会があった。3名のうち2名は定年による退官で、残る1名は栄転である。栄転することとなったIさんは僕とは年齢が近いが、低空飛行の僕とは違って研究でも教育でもずぬけた人だ。近くでいろいろと学びたいことがたくさんあった。Iさんの講義はさまざまな工夫がこらされてあり、つねに評判高く、僕はそのうちにぜひ聴講したいと思っていた。そんなチャンスはいくらでもあると思っていたが、突然の栄転でチャンスを逃してしまった。常に論理的で頭の回転が速く、そのうえ博識な人なので、雑談でも刺激的だった。「やらない理由なんていくらでも言えるからねぇ」とは雑談の中での彼の一言である。怠惰に流れやすい自分への戒めとしてここにメモしておく。
 定年退官される2名のうちの一人は景観を設計するアーティストであるMさん。世の中を積極的におもしろがる姿勢が楽しいひとだ。Mさんは学内のあちこちに養蜂箱を設置して蜂蜜をとっている。学生もこの養蜂に参加していて、ハニークラブというクラブ活動になっていた。Mさんはどういうわけかハニークラブの後継者として僕を指名した。ここを去る前に養蜂のノウハウを伝授してくれるという。道具もゆずってくれるらしい。楽しそうだけどいそがしくなりすぎないかと心配していたら、養蜂で忙しいのはハチで、人間は待ってるだけだって。ほんまかいな。