植物演習、栽培演習

僕が勤める学校は景観園芸のプロを育てる学校だ。景観園芸のプロになるためには、まずたくさんの植物を知ることが必要だ。そこで、月に1回、植物演習の授業がある。

この授業は、学内の庭園で実際に栽培している植物を見ながら、それらを覚えていこうという授業である。植物の見分け方だけでなく、造園的な使い道や、栽培管理方法なども学ぶ。また、自生地の環境や、外来種として逃げ出す危険性について触れることもある。1回の授業でだいたい40種の植物を扱い、半年で約150〜200種程度の植物を学ぶ。

今日の午前中はこの植物演習だった。僕は、この学校に来るまでは、仕事や研究で野生植物だけを扱ってきたので、園芸種についてはぜんぜん知らなかった。この授業のおかげで園芸植物についてちょっとずつ詳しくなっている。園芸種もまた面白いなあと思うようになった。といっても、僕の楽しみ方は、野生種との対比を楽しむというやり方だ(気をつけてみてみると野生種と同属の園芸種はけっこう多い。また、伝統的な園芸種や日本庭園で使われる種には野生種との共通種がかなり多い)。園芸種も面白いと思っているけれど、魂を売ったわけではなくって。当然のことながら、野山で園芸種が逃げているのや、里山や里の草原に園芸種が植栽されてしまっているのをみると、げーっ、と思うのではあるが。

午後は、栽培の演習。学生には1人約1坪の畑が与えられている。ここで野菜や花卉を栽培することで植物の栽培管理を実践的に学ぶという授業。僕も前期は畑をいただいて、ズッキーニや茄子などを栽培していたのだが、梅雨に入ったころから放置したため、ひどいことになってしまった(ただでさえ植物の成長は複利回りであるところにさして、春から夏はどんどん気温が上がるものだから、作物も雑草も、指数関数的どころでない成長をしたのだった)。できれば午後は、あさっての講義の準備をしたかった。しかし、いまや僕の畑は他人に迷惑がかかるほどの惨状である。これを放置するわけには参らず、後片付けのために演習に参加した。

時おり吹く風は涼しいし、空は高くて秋の雲だが、10月と思えぬ暑さ。午後5時ごろまで畑仕事をしたらけっこうバテた。

で、夜になって、あさっての講義の準備をはじめたが、ばてているのではかどらない。とりあえず、流れをつくってしまって、あとは明日やろう。


帰り道、学校の庭でフクロウらしき鳥がいた。おどろいた。ふもとの町ではイタチと出会った。イタチがホンドイタチかチョウセンイタチか、交通事故にあった個体があれば調べてみよう。