分蜂,たね展

 夕刻,研究室のタネ標本を学生oqさんがみたことないというからそれを引っ張り出してみてもらったら,いたく心を動かされた様子.
 「こんなにいろいろあるなら展示会しましょうよ」という.
 「いや,そんなんするほど種数はないねん」
 「えー.こんだけあったら十分ですよ.美大生なら30あつまったら個展を開きます」
 さすがにそれは美大出身のoqさんの冗談であろう.せっかくなのでおすすめのタネをいくつか見せる.

 そうしていると同僚のIさんが通りかかってよびとめてみたら,分蜂みたよとうれしそうに言う.まだあるという.それで場所を聞いて学生oqさんとともに探しに行ってみた.
 学内の実習用の草原の近所,ウメの木の枝にハンドボール大のかたまりがぶらさがってる.近づいてみるとこれが分蜂群だった.ひとしきり観察をして,そうっと撫でてみるとちょっといやがって腹をよじるが,それだけ.飛んだりもしない.ときどきさざなみのように,ざざーっと,かすかな羽音を分蜂群全体が発する.なんともかっこいい.こころなしか,暖かいような気がする.堪能して,帰路,もう1つべつの分蜂群をみつけて,いい気分で研究室にもどる.Iさんに,分蜂もうひとつ見つけたよというと,長い雨がやっとあがって分蜂日和なのかなとIさんがいう.

 もどってちょこちょこ仕事をしているとoqさんが「さっきのタネ貸してください.それから,共同研究室の机の上のものどかしていいですか」というのでよきにはからってもらうと,しばらく後,タネの標本瓶200本余りを几帳面に机にならべてあった.黒い机に標本瓶を千鳥に並べるだけでこんなにもかっこよくなるのか.びっくり.さらにoqさんはいくつかの標本瓶の写真を撮ってあっというまに「いろんなたね展」のフライヤーを作成し,廊下にはりまくっていた.このフライヤーのできもすばらしい.というわけで,今月末まで,うちの研究室で「いろんなたね展」やってます.ぜひお越しください.