貝類の図鑑

 日本では植物の図鑑はものすごくたくさん出版されていて初心者向けから専門家向けまで幅広い選択肢がある.けど,貝の図鑑はおもいのほか少ないようだ.以前からカタツムリの図鑑がないなあと思ってたんだけど,貝類全般を見渡しても選択肢が少ない.
 日本の貝類の網羅的な図鑑としては「日本近海産貝類図鑑」(奥谷喬司2001,東海大学出版会)がある(いや,今はたぶんそれしかない).日本産貝類は6000種近くあるらしいが,この図鑑には5000種ほど載っている.価格は39,900円の立派な図鑑.いまの僕のように,漂着貝を年に数回拾ってその名前をしらべて遊ぶくらいだと分不相応な気がする.なので持ってない.欲しいけど.
 学研のフィールドベスト図鑑(コンセプトは中高生向けらしい)のシリーズには「日本の貝1 巻き貝」「日本の貝2 二枚貝・陸貝・イカ・タコほか」(どちらも奥谷喬司2006,学習研究社)がある.2冊あわせて2300種ほどを掲載している.ただし,〈1〉の方はどうやら品切れらしい.いまamazonマーケットプレイスでは8000円とかオソロシイ値がついてるが,他の古書サイトに行けば定価より安く手に入るから早まるな.僕は数年前に購入して(島で暮らすなら持ってたら楽しそうだったから),これまで本棚の肥やしにしてた.
 保育社の原色シリーズからは「原色日本貝類図鑑」〈吉良哲明1954〉「続 原色日本貝類図鑑」(波部忠重1961)の2冊が出ていた.前者は微小貝を扱わず,後者では微小貝が多く掲載され,2冊あわせて2700種ほどを扱っている.いずれも版元品切れ中だが,古書は多く出回ってる.版を重ねるうちに改訂されてたり印刷会社がかわって図版がきれいになったりしているらしいので,古書で買うときはいつの版なのか確かめ,なるべく新しいものを買うのがいい.僕が買ったのは,前者は1992年の改訂32刷,後者は1994年の21刷だ(バブル経済のころやな).
 総当たり絵合わせには,フィールドベスト図鑑が向いている(図版のページが連続しているから).フィールドベスト図鑑で見当をつけて,ちょっとちがうなと思ったら保育社原色で近縁種との違いをチェックするようにしている.
 「海辺で拾える貝ハンドブック」(池田等2009,文一総合出版)は掲載種数は150種ほどと少ないが,同じ種類の貝殻のフレッシュな状態から摩滅・破損した状態まで,劣化の度合いの異なる写真を並べているのが特徴.貝殻が摩滅していく過程がよくわかるので,打ち上げられた貝をしらべて遊ぶ上でとても参考になる.
 
 日本近海産貝類図鑑 日本の貝〈1〉巻貝 (フィールドベスト図鑑) 日本の貝〈2〉二枚貝・陸貝・イカ・タコほか (フィールドベスト図鑑) 海辺で拾える貝ハンドブック