サイフォン

 (農家の方には常識だけど,ぼくらはこんなことも知らないんだぜシリーズ)
 ため池に発泡スチロールの浮き玉が浮かんでいることがある.

 
 これはサイフォンの取水口(を水面付近に固定する浮き)である.そこから水面下をパイプが這ってきて,堤を乗り越えていく.堤の上には,パイプに水をいれてサイフォンの中の水をつなぐための給水口とバルブがある.堤の下流側のバルブを閉めておいて,給水口からパイプに水を入れ,給水口のバルブを閉じて下流側のバルブをひらくと池の水が出ていくしくみ.


 
 今は冬なのでパイプの中の水を抜いた状態にしてあるらしい.凍結でパイプが破損するのをふせぐためのようだ.水をぬいているため,浮き玉は浮かび気味.サイフォンに水をとおすと浮き玉の中程まで沈むそうだ.ところで,ため池の浮き玉にはなぜかセイタカアワダチソウがよく生えている.
 
 かつては池の堤につきさしたアカマツ丸太の樋を抜いて池の水を水路に導いていた.しかし,それは大仕事なので,いまどきは堤の上のハンドルで樋の開閉を操作できるように改修されたため池が多い.改修されていない旧来の樋をもつため池では,樋を抜いたり刺したりしなくてよいように,サイフォンが普及している.丸太の樋を抜いたり刺したりする池はもうほとんどないのかもしれない.つぎの写真2枚は,松丸太の樋.