かいぼり

 県の土地改良事務所からお誘いをうけ、三原平野の一角で行われるかいぼりを見に行った。朝から行われている行事だが、午前中は所用があり、午後になってから現地へ行った。
 対象となった池のある地域では土地改良事業がずっと以前に完了している。灌漑はパイプライン化されていて、その水源は上流のダム。このため、集落内のため池はすでに使われておらず、かいぼりは相当長く行われていないとのこと(十数年または数十年)。今回は2つの池で同時にかいぼりがおこなわれていた。双子の池というわけではないようだ。1つめの池は底樋から流出する水路の行く先が住宅地を通っており、泥水を流すことについてその地域の了承が得られなかったために底樋からの放流ができず。余水吐けからの流出は別系統となっていて、こちらには泥水を流せるとのことで、ポンプを使って余水吐けから泥水を排出したそうだ。底樋と余水吐けで流出経路が異なる池があるとは知らなかった。めずらしいのか、よくあるものなのか。2つめの池は底樋から泥水を抜いていた。底樋のパイプ径が150mmしかなく、頻繁に泥詰まりを起こす。それを防ぐために、水を抜くときにロープを通してある。ロープには結び目をつくってあって、泥が詰まりそうなときはこのロープを前後に動かして詰まりをほどく仕組みだ。これは、かいぼりではよく行われているやり方だ。今回もときどき泥詰まりをほどきながら作業をしていたが、最後に石かなにかが詰まったらしく、ロープをうごかしても詰まりがほどけず、それどころかロープが下方向には引っ張れない、という状況に陥っていた。時間がきてかいぼりは終了となったが、土地改良事務所の方はその後も残って詰まりと格闘していたようだ。
 かいぼりには、神戸大学発達科学部の学生と、吉備国際大学の学生が参加していた。神戸大はESD(持続的な発展のための教育)というカリキュラムで地元の漁協とのかかわりがあり、今回のかいぼりには、漁協から声をかけられた3年生の学生が数名参加していたとのこと。今回、うちの学校からは参加しなかったが、次年度以降、授業に組み込むか課外活動として、地域のかいぼりへの参加を検討してみたい。淡路島のかいぼりをここ5年くらい見てきて、保全を学ぶ学生がこれに参加して得られるものがたくさんありそうな気がしてきた。
 水をぬいた池底の泥の上にはサギやカメ類の足跡がたくさんついている。このへんのカメはほぼすべてミシシッピアカミミガメだろう。かいぼり時に捕まえた魚はブルーギルが多かったそうだ。