フリクションボールの罠

 消せるボールペン(パイロットのフリクションボール)を調査票や実験ノートにつかうのは危険.
 フリクションボールを使い始めたら思いのほか便利でいろんなところに使ってしまう.先日はついつい聞き取り調査の記録につかった.つかってしまった.
 しかし,フリクションボールは60℃以上の高温でインクが透明になるため,調査票が高温にさらされた場合,データが見えなくなるおそれがある.調査票や実験ノートは,解析後であっても疑義があればそこに立ち返る必要があるのに,そのときに原票が消えていたのでは大変こまる.夏場の乗用車の室内,冬場のバスや気動車の座席下からの高温風など,高温環境は案外身近にある.マイナス10℃以下で冷却すれば再び発色するらしいが,そのとき,書き直しをした部分は修正前後の文字が重複して現れることになる.
 現場での書き直しが可能な筆記具なら,鉛筆やシャーペンの方が信頼できる.フリクションボールで調査票を書いたときは,速やかにバックアップをとっておいたほうが安心だ.