オオフサモの駆除

 演習科目で,学内の池の植生管理を実践することにした.今年から数年間継続するつもり.対象とする池は,直径12m程度,水深1m程度.小さな池だ.ここ数年,オオフサモに覆い尽くされている.
 演習では「特定外来植物オオフサモの根絶」を目指す.オオフサモ以外の生物を残しつつオオフサモのみを根絶することが目標である.
 2年前に在籍した学生K君がオオフサモの駆除をテーマとして研究し,2m×2mの実験区レベルでは根絶に成功したと思われるデータを得ている(金丸ほか2015,緑化工学会誌40巻3号).しかし,これを池1つのスケール(小さな池ではあるが)に拡大できるかどうかはわからない.
 第1回目となる今回は,池の現状を知るために生物相調査を実施した.また,オオフサモの除草作業を試行し,その要領を体験してもらった.現場でわかったことを踏まえて,まずは学生たちに管理計画案を練ってもらう.
 今回の試行では,池中央付近のオオフサモの葉群マット3m×3m程度を除去した.池中央部ではオオフサモは池底に根を下ろさず浮かんでいる.浮かんでいるといっても,太い茎がからまりあった分厚いマットなので,うどん鉢のなかのうどん玉のような状態だ.これをできるだけ大きなブロックに切りわけ,ひきあげた.めちゃ重い.切り分けるのに,ノコギリ,刈り込み鋏,芝切り鋏,カマを試してみた.その結果,カマがいちばん具合がよかった.鎌を逆手に持ち,底の方からオオフサモを救い上げるように持ち上げる.この方法で葉群マットを切っていった.氷の海を進む砕氷艦の気持ちを味わえる.カマは柄と葉のあいだに角度がついているので,茎を束ねながら切れるところがよい.できれば刃渡りがもっと長いと理想的.
 足の感触で,池底の泥の中にごつごつしたものがころがっているのがわかる.掬い上げてみたら,どうやらコウホネの地下茎だ.たくさんでてきた.どれも腐っていて,ネコのウンコみたいな悪臭を放つ.たしかに8年前はこのあたりにコウホネがまとまって生えていた.オオフサモに負けて枯れたのかもしれない.
 オオフサモを引き上げた場所に水面があらわになった.底をかきまぜると泥が雲のように湧き上がる.キラキラと輝く粒子を多量に含んでいる.ガンメタルの塗料をかきまぜたときにそっくりだ.このキラキラはいったいなんだろう.植物由来なのか鉱物由来なのかそれともぜんぜん違うのか.