企画集会で発表して楽しかった日

 朝6時頃からホテルで発表準備.ある程度目処が立ったので,いったん作業をやめて出発.
 朝10時にポスター会場へ.興味本意で外来種関連のポスターを見て回る.今回はEAFES併載のため英語ポスターが多く(ポスター賞に応募しているものは英語発表が義務づけられてる),疲れる.10枚くらい見た.今回の英語発表義務づけについては会場内外で賛同しない声を聞いた.僕も賛成しない.ポスター賞に応募する学部生や大学院生には,英語以前に,議論そのものに不慣れな人もいる.英語の訓練よりも議論の訓練になった方がよいし,なによりせっかくの学会の場,多くの人から批判や意見をもらうチャンスであるというのに,その目的が大幅にスポイルされるのはmottainai.学会アンケート用紙にもそのように書いて提出した(mottainaiとかは書いてないけど).
 外来種カテゴリーのポスターは,僕がみたところ,外来植物とその天敵(天敵も外来)という系を進化生態学の実験系とみなしておこなわれているものと,外来種による在来種群への影響やそのメカニズムを扱ったものに別れていた.今回のポスターでは前者に面白いものが多かったように思う.最優秀賞を獲ったP1-372Aも前者のものだった.しかし,僕の興味はむしろ後者であり,後者にに面白いモノがもっとたくさん混じっていて欲しかった.
 P1-372Aは1年草を題材にしていて,進化や適応を見るのに向いている.よくにた設定のP1-370Aは研究材料が多年草(年齢不詳・天敵の影響を受けた後の世代かどうかが不明)だった点で,現象がうまく見えなくなっているように思えた.372Aの演者に,そのことを意識して1年草を材料に選んだのですかと聞いてみたら,たまたまです,と.なるほど.そこは運だったのか.あ,しかし,1年草であっても種子寿命が長いから,天敵の影響を受けた世代かどうかはよく考えたら不明だな.まあきっと影響を受けた世代(つまり新しいタネに由来する個体)がより多く含まれるのだろうけれど.
 それから植物群落のポスターをいくつかみた.P1-017J神戸大のN田さんの人為攪乱のタイプ別に多様性をみている研究は,保全の現場への示唆を多く含んでいておもしろかった.
 ポスターに疲れてきた頃合い,農環研のI田さんと出会って,いっしょに昼食.ここの学食はボリュームがすごい.Mサイズのチキン南蛮丼を食べきれなかった.
 食後,こんどこそ発表準備を仕上げてしまおうと,休憩室でノートPCに向かう.とりあえず完成,と思ったけど,なんか長そうなので,ぶつぶつと練習してみたら,15分の持ち時間に対して25分くらいかかる.まとめ方もイマイチだからなんとかしなきゃ.で,引き算の作業とまとめ方を考える作業を開始.そうこうするうち午後のシンポジウムの時間帯に突入.湖国の田んぼ研究,天災と人災,白亜紀末大量絶滅,おもしろそうなのが目白押し.行きたいけど,目の前の作業が.くそぅ.ハンドリングに失敗した(そうこれが平常運転).15時30分ころ,18分くらいまで縮められ,すっきりしたまとめも思いついたので,完成とした.本番で無駄なことを言わなければ15分で終わる目算だ.
 ここからシンポジウムに行けば,のこり1時間30分も見ることが出来たはずだ.なのに,シンポジウムは16時で終了と勘違いしてたんで,ポスター会場に行ったり,お茶のんだりしてましたわ.はー.ちゃんとプログラム見ろよ,自分.
 いよいよ夕方の企画集会.T03「半自然草地の現状と再生」.どの発表も面白かったが,星野さんの藁まき工法の話は,いま僕が勤務先の授業でやっている畦畔草原再生ともリンクする内容で,興味深かった.(懇親会で質問しようと思ってたのに,お酒のみはじめたらそのへんのことはすっとんでた).また,平舘さんの土壌と草原の組成の話はいつ聞いても面白い.データが厚く,美しい.
 僕はT03-3,「現在の非農業活動により維持される半自然草原」を発表.数年前からとりくみはじめたスキー場ネタと,昨年度から学生をそそのかしてやり始めたお墓ネタ.調子にのってしゃべったら,15分でおわるつもりが,やっぱり18分くらいになってもた.でもまあ,失笑も含めれば5回くらい笑いを取れたのでよかったのではなかろうか(自画絶賛).お客さんが多く,また,お墓の話は受けたようで,その後,学会最終日まで,何人かの方にお墓の話がおもしろかったと声をかけてもらえた.楽しんでもらえるとはほんとうにありがたいことだ.学生T君のがんばりが認められた.そして,ワンダーランド淡路島ばんざい.このネタはなるべく急いで投稿しよう.また,非農業活動によって維持される草原の保全上の意味について,3行ほどでまとめてみたところ,半自然草原業界では有名な大学院生Y川君から,腑に落ちた,と言ってもらえて,これも嬉しかった.
 企画集会の懇親会で京都で飲む.この発表をもって今回の学会でのデューティからすべて解放されたので,こころおきなく飲む.日本の草原が1万年でカナダの自然も1万年という話をしたら,意外と受けた.懇親会の人数が多くて,お話ししたかったけどできなかった人も多数.でも,新たな出会いがたくさんあって,楽しいお酒だった.調子に乗って気がついたら終電.終電でホテルに帰って寝た.学会ってほんとたのしい!