beeswax

 巣箱1個からとれた垂れ蜜は,5リットル瓶(4リットル瓶かも?)で2本分になった.残った巣が共同研究室をふさいでいるので片付けなくては.養蜂部部長の学生KAさんの都合がついたので蜜蝋づくりをすることにした.
 以下の手順でやってみた.はじめてだったが案外簡単だった.


1)巣板を軽くじゃぶじゃぶと水洗い.てきとーでOK.


2)鍋底に水を2〜3cm入れ,巣板を山盛り入れて煮込む.
巣板はほとんど空気みたいなもので,すごく目減りするので,琵琶湖食堂のとりやさい鍋みたいにてんこ盛りでも大丈夫.
そのうち,どろどろに溶けてくる.幼虫や蛹や脱皮殻(?)その他ゴミがたくさん浮いてくる.
あ,スムシもいたんだ,とここで気付いたりする.このプロセスはけっこう臭う.


3)巣板が溶けたどろどろのやつをザルで漉す.ザルにのこったゴミは捨てる.このゴミは臭い.


4)ゴミを除いた液を鍋ごと水につけて冷やすと,蜜蝋が上の方で膜を張るように固まる.
おお.こんな鮮やかな黄色の蝋が採れるとは思ってなかったぞ.びっくりうれしい.


5)固まったら蜜蝋をべりべりっと取り出す.あまった水は捨てる.この水も臭い.
この段階の蜜蝋は,まだまだ小さなゴミがたくさん混じっている.蜜蝋はもうほとんど臭くない.


6)さらしの布でさっきの蜜蝋を包んで,ゴムで縛る.


7)こんな茶巾絞りのようなカタチにして,鍋で煮込む.中火〜弱火で,沸騰させないくらいで.


8)さらしの中から蜜蝋が溶け出してくる.最後はこんな感じで箸で軽くしぼる.


9)さらしの中には小さなゴミがいっぱい残ってる.その分,蜜蝋はキレイになっている.


10)これが小さなゴミ.正体はなんだろう.花粉とか糞とかだろうか.


11)小さなゴミを取り除いた液体はこんな感じ.溶けた蜜蝋が表面を覆っている.
まだ少しゴミがまじっているけど,売るわけじゃないし,きにしない.


12)冷やすとこんな感じ.きれいになった蜜蝋が固まってきた.
もうぜんぜん臭くない.むしろいい匂い.


13)できあがった蜜蝋.巣箱1つから円盤2枚とれた.480g.
(あ,一昨年のあまってた巣板もすこし混ぜてた)
左の1枚が最初のバッチ.奥の1枚は2バッチ目にして会心の出来.ゴミがほとんど混じってない.
右の1枚は前から持ってた蜜蝋を精製しなおしたもの.保存中に虫が喰ってたので駆除を兼ねて.


 こんどはこの蜜蝋でろうそくをつくろうと思う.日本のろうそくはハゼノキの果実から蝋をとるが,ヨーロッパのろうそくは蜜蝋でつくってた.つまり,これも生態系サービス.石油化学が進歩する以前は,蜜蝋(=常温ではかちかちに固いけど70℃くらいでさらさらに溶ける油)は,さまざまな使い道のある有用素材だったことだろう.いや,いまでも蜜蝋は多用途に重宝されているようだ.化粧品にも使われるらしいし,うちにあるクレヨンは蜜蝋でできてる.