沖洲の人工海浜

 30日(日)に徳島で開かれるシンポジウム「マリンピア沖洲人工海浜の現状−民官協働による利用ルールの提案に向けて」(案内チラシPDF)で,沖洲人工海浜海浜植生の現状について紹介することになっている.
 2007年の夏に海浜植生の移植後初期の状況を見せていただいたが,あのときはコマツヨイグサ・オフタバムグラ・メヒシバなどの繁茂が目立ち,目標植生として設定された海浜植生とはかけはなれた状態だった.(1)人工海浜の表土(土ではなく砂だが)にシルト分が多く含まれ土壌が固く締まっていることや,(2)防風ネットによって地表面の攪乱を抑制していることが原因と思われた.また,目標植生として(陸側から)チガヤ群落→ケカモノハシ群落→コウボウムギ群落というゾーネーションを設定していたが,人工海浜の構造は砂州内側の入り江状の場所を模したものであり,入り江状の場所の植生調査結果を踏まえると,この目標設定と植栽基盤とが合っていないと思われた.入り江状の場所の植生に合わせ,後方の大部分ではチガヤ群落,前線の一部ではコウボウシバ群落を目標とするべきと思われた.
 今日,1年ぶりに現地へ行った.シンポジウムでのお話のネタあつめとして植生調査をするためだ.現地では,すでに防風ネットは除去されていた.前線には,モデルとした入り江状の場所と同様のコウボウシバ群落が,満潮時の汀線に沿って成立していた.このことから,前線の状況はほぼ目指すべき形になっていると判断できた.後方(ケカモノハシやコウボウムギを移植した場所)には,全体的にチガヤがひろがっており(まだ被度は低いが),徐々に,目指すべき形(修正後の目標植生)に近づいていると思われた.
 帰りの車を運転しながら,また,帰ってきてから,日曜日の発表内容を頭の中で醸成している.ただし,明日は終日演習授業であり,土曜は大学院の開学記念式典などの行事があるので,発表準備をするのは金曜日しかない.


前線ではコウボウシバが満潮時汀線に接する形で群落を形成している.

後方ではチガヤがひろがってきている.

 今回の現地調査は1限の部門ゼミを終えてから出発した.すると,ゼミ生が4人もついてきて手伝ってくれた.ありがたい.せっかくなので,学生にはいろいろな海浜植生をみてもらおうと考え,徳島空港横の人工海浜に再生された海岸砂丘植生と,もともとある自然海岸の海岸砂丘植生を見学した.空港横の人工海浜では,移植群落とは思えないくらい自然な群落,ゾーネーションが形成されているので,ちょっと見応えがある.
 また,せっかくなので,ラーメンとうどんを食べた.徳島に来たらかならず立ち寄る徳島ラーメンも徳島大学前のうどん屋も,どちらも学生たちに好評だった.そりゃそうであろう.徳島の麺類はレベルが高いのである.

 さて,調査を終えて学校にもどってきたら,午後8時.いそいで明日の演習授業の準備をはじめようとしたところ,2時間ほど気絶してしまった.22時.いまから用意をはじめると大変なことになりそうなので,ともかく一旦帰宅して,めしくって風呂入って一眠りして早朝に出直そう.用意でのこっているのはレジュメのみ.こちらは,盛り込むべき内容はもうきまっている.つまり「メドはたっている状態」まで来ているので,なんとかなるだろう.