海浜植生をテーマとした環境学習

 今日が本番.天気は晴れ.この季節にしては涼しめな日.小学校の1限と2限,つまり8:50−10:30までの100分間.対象の3年生児童は125人,24班.
 当初,4班ずつ2分おきにスタートして,チェックポイントを順番にまわっていくラリーをするつもりだったが,現場の様子をみてやりかたを変更した.現場にいってみると,ハマダイコンがおもったより少なく,また,アカスジカメムシもそんなにたくさんいなさそうだったので,いくつかのチェックポイントでは課題をクリアできないかもしれないと思ったのだ.クリアできないチェックポイントがあると,順番通りに巡っていては大渋滞がおこってしまうだろう.そんなわけで,スタートは一斉・チェックポイントは順不同・課題を3つ以上クリアしたらゴールしていい,というルールに変更した.スタート前に子供たちに「このゲームラリーの目的は早くゴールすることじゃなく,1つでも多くのチェックポイントをクリアすることだ」と伝えておいた.
 スタートしたら,こどもたちは海浜植生の中をうろうろしながら,たんけんの課題カードに示された植物をさがしている.125人24班が入り乱れているが,海浜は十分にひろいので,混雑している様子はない.にぎやかな様子である.一般に子供は動物には興味をしめすが植物にはなかなか興味をしめさないものなので,海浜植生をテーマにした観察会がうまくいくか僕は気になっていた.が,期待した以上に児童がノリノリで,どの班の子らも1つでも多くのチェックポイントをクリアすべく,いっしょうけんめい海浜をうろつき,葉っぱを嗅いだり,かじったり,コウボウムギの筆で絵や字を書いたりしていた.
 そこそこまじめな課題からアメリネナシカズラで一発芸をするという一見不真面目な課題まで,課題の幅が広かったので,班のいろんなタイプの子供がチェックポイントのクリアに貢献できるようになっていた.アメリネナシカズラのカツラで記念撮影,という珍奇なアイディアを学生が考えついてくれたおかげでこういう展開になった.やはり世の中Geekの発想だけではいかんのだ.
 アメリネナシカズラで児童がどういった一発芸をするのか興味があったが,ざんねんながらそのチェックポイントは僕が担当しなかったので,見られなかった.大人の発想だとカツラとか焼きそばがありがちだが,聞いたところではにしおかすみこをやった子がいたという.にしおかすみこのムチに見立てたらしい.それはちょっとみたかったぞ.
 ハマボウフウの葉っぱを味わうという課題では,「まずい」「にがい」と叫ぶ子供が続出.味についての語彙は,おとなもこどもも同様に貧弱なのか.そこで,少量を前歯でかみながら深呼吸して香りも味わってみ,というと,こんどは,「ミント味?」「バジル味?」などにまじって,「パセリ!」という,期待する答えにたどりつく子もいた.
 ハマダイコンの根をすこし傷つけてにおいをかぐ,という課題では,「あ,これ,きのう食べた.なんやったっけ,あの,白いの!ふわふわで,ちりめんじゃこにのってた」とさけんで,そこまで行ってもなおダイコンにたどりつけない子がいておもしろかった.
 そんなにたくさんなさそうに見えたハマダイコンアカスジカメムシも,こどもたちの目にかかると大量に発見されたようだ.空きペットボトルの中に10匹以上のアカスジカメムシをつかまえた子もいた.子供パワーはおもしろい.
 反省点.「この課題の植物ってこれー?」といいながら,ひっこ抜いたハマボウフウをもって走ってくる子が何人かいた.質問したいときは葉先だけもってきてもらうように言っておくべきだった.結実直前で抜かれてしまったハマボウフウにはかわいそうなことをしてしまった.まあ数個体抜かれたところで1%にも満たないが.