こぬひとを まつほのうらの

 というわけで,2006年と2010年の松帆の浦の植生を写真で比較してみた.「もっとスナビキソウが多かったはず」「ネズミムギこんなにあったっけ」という記憶は,美化された擬記憶ではなく,事実だった.この海浜でネズミムギが繁茂してきたのは攪乱の不足(立地の安定化)によるものだろう.淡路島は2004年に数個の台風がほぼ直撃し(4,6,11,21,23号),特に23号の被害は激甚災害に指定されるほどだった.しかし,2005年以降は台風の直撃はなく,北端の海浜ではおそらく大きな攪乱は生じていない(2007年4号は島の南東部の海浜に攪乱をもたらしたが,北部ではあまり影響はなかったと記憶している).
 1996年頃から海浜植生を観てきた経験からいうと,海浜植生は5〜10年に一回くらい台風の直撃による大きな攪乱によって遷移が引き戻される.ここもそうなるだろうか.それとも….
 
 上は2006年6月10日.裸地部分がけっこうあって,スナビキソウやハマボッスが目立つ.
 下は2010年5月22日.全体にネズミムギに覆われ,裸地部分は目立たない.右奥の白花はハマダイコン
 4年でこんなに変わる.