草原をつくる演習(4)

 10月15日のつづき.学校の周辺をめぐる2.5〜3km程度のコースで畦畔の植物のタネを集めた.タネをとった植物は,ツリガネニンジンノアザミヤマハッカ,アブラススキ,センニンソウツルボヤマノイモアキノキリンソウイヌタデ.これらのタネの半分を実験区に直まきし,のこりは後日,苗をつくることとした.
実験区では,5月に実施した「ネズミムギ結実前刈り取り」の効果が現れていた.ネズミムギは秋に発芽する植物で,すでに爪楊枝ほどのサイズのネズミムギがびっしりと生え,芝生状となっている.しかし,結実前刈り取りを実施した区画では,ネズミムギの芽生えの数が顕著に少ない.このことは,散布された種子の大部分はその年のうちに発芽してしまい,埋土種子集団に加入する割合が低いことを示している.この傾向はボウムギでの実験結果とよく似ており,ネズミムギでも期待したとおりだった.埋土種子の寿命はながくなさそうなので,結実前刈り取り(+系外持ち出し)を数年間つづければネズミムギの優占状態は脱出できそうだ.