豆みそ文化圏に来た

 某大学での講義と,その他もろもろの用事のために,豆みそ文化圏(赤みそともいう)に来た.夕食はぜひとも味噌かつを食べたいと考えた.ただし,あらびきのパン粉の店はいやだ.もう,ここ十数年かそれ以上か,外食産業では粗挽きパン粉のとんかつ屋が多くなっているように思う(※1).クリスピーなテクスチャが得られやすいことや,満腹感が大きいためにウケがよいのかもしれない.しかし,僕は断然,細挽きパン粉派である.とんかつでもコロッケでも,ペーパードリップ用のコーヒー豆くらいに細く挽いたパン粉を用いて,それでも十分すぎるほどのクリスピー感を達成している店こそ,おいしい,すばらしい店である.コウボウムギの鱗片ほどもあろうかという極粗のパン粉のとんかつ/コロッケは興ざめだ.とげとげしたコロモが油を吸いすぎているなど論外だ.
 さて,某大学のあるG市には,細挽きでおいしい味噌カツがたべられるお店がある.どこにあるかというと,かつてはきらびやかな繁華街だったが,いまではシャッター街と化し,そのシャッターだらけのひなびた風情が商店街マニアな矢井田瞳に好評だったというウワサの,全国でも屈指のひなびた繁華街である.店の名前は「キッチンねこ一」という.僕が知ってる限り,最高の味噌カツがたべられる店である.調べてみたら,定休日じゃないし,ラストオーダーまではまだ十分に時間がある.やった.ねこ一にいけるとわかった瞬間から僕はテンションあがりっぱで,たいへんな騒ぎであった.
 ところが,ひなびた繁華街(いや,矢井田瞳がいうほどにはひなびてないぞ)のその店までやってきたら,閉店時間までまだ数時間あるというのに,看板をしまわれていたのであった.くー.残念.
 しかたがないから,近所の別の店で,味噌煮込みうどんを食し,豆みそ文化を満喫した.これはこれでおいしいなあ.アルファ化してないんじゃないかとおもうほど固い麺がまた楽しい.

※1:単なる印象なので現実はどうか知らん.ちゃんと調べてないので先の文章は科学的じゃないな.