発表会

 今年も実践演習発表会の日となった。修論発表会に相当するが、当研究科では研究室配属がM1の終わりごろなので、世間一般の修論よりも研究期間が短い。
 当研究科ではゼミは3つに分かれていて、各ゼミに研究室が4〜5つある。発表会はゼミごとにセッションを組んで、順番に進める。ことしはうちのゼミは午後1番目のセッション。
 午前中のセッション、1人目の発表はジオパーク認定を目指す離島での岩石資源の保全活用に関する研究。僕好みのおもしろい内容。室戸台風以前にこの地域の海岸でみられた石組の防壁がいま2つだけ残っているとのこと。見に行きたい。4人目、商店街の活性化のために、やや離れた観光地と結びつけて人の流れをつくるプロジェクト。そのためにルートの中間にくつろぎスペースを施工した話。施工そのものより、前段で話をしていた町全体をつなぐエコミュージアム的なプランとそのロジックがよいと思った。そちらをしっかりと紹介してもよかったかも。
 午後に入ってうちのゼミ。自分の受け持ち学生tmさんは、かつての製炭集落で過去の植生景観を推定するもの。現地調査、炭焼きに携わった方への聞き取り、空中写真判読、古い農林統計の整理など、盛りだくさんな内容を時間内にどう伝えるかが難しく、また、研究の意義を説明するのも苦戦して、前夜まではイマイチ面白さを表現できていなかったが、夜中にちゃんと修正した。発表のときは無駄のない話し方で、彼女のこれまでのプレゼンの中でいちばんよくできたと思う。つづくyg君は氾濫原植物の生育立地に関する研究。これまで苦手だった質疑応答をちゃんとできたのはよかった。
 最後のセッションでは人工地盤に植栽された樹木を掘り起こして根のスケッチをしたものが印象にのこった。健全な樹木と衰弱した樹木を同種で比較できない点は難のある研究だったが、根系スケッチの美しさと緻密さがすばらしい。
 15人の発表が終わって1時間ほど審査の時間があってから最優秀賞の発表。tmさんの名前が呼ばれた。今年は全体におもしろかった。手を抜いた風な学生がほぼいなかった。そんななかで選んでもらえてよかった。