生態学会2日目

 会場は仙台国際センター広瀬通駅付近のホテルから歩いて行く。大町あたりはジンチョウゲの香りにつつまれていた。
 午前中はT02「種の境界」をすこし見て、ロビーにMatsut氏、北大F田さん、東大U田君がいたのでトラップされに行く。
 午後はシンポジウムS02「保全科学が挑む情報のギャップ」へ。様々な情報のギャップ。なかでも研究と実務のあいだのギャップについて話した高川氏の講演がおもしろかった。保全に必要な根拠法、保全を実現できないタイミングとできるタイミング。保全の現場での経験からの意見は説得力がある。保全のためには理解者・賛同者を得る必要があることから、いかにして賛同者を増やすかということについて「保全心理学」なるものが紹介される。どのようなアピールをすれば人の心が動くのか。けどこれ、ある種の社会的な価値観と心理学をつないでその価値観を広めようとする意図が根底にあるのでなんか怖い。セトラー・プロスペクター・パイオニアの話は面白かった。プロスペクターは日本ではいわゆるマイルドヤンキーというやつか。高川氏はどれも1/3ずつくらいいると言ってたが、この3つの価値観タイプが親から子へ受け継がれやすいものだと仮定すると、プロスペクターは他よりすばやく増えそうだと思った。
 夕刻、フォーラムU05「アクティブラーニングを考える」へ。アクティブラーニングとは何か、なんとなくのイメージはあるが予習不十分なままフォーラムを聞く。元文科省の方からアクティブラーニングのキーワードとして「主体的」と「協働的」が挙げられ、後者については、社会で協働が重視されているからそれに対応できる人材をつくることが目的と説明された。これ、僕のアクティブラーニングに対するネガティブなイメージの本丸かもしれない。協働を重視する根拠が僕にとっては魅力的でなく、また、協働を重視すること自体への不安がある。2010年5月の日記に、「大学は企業がもとめる人材をつくれ」と主張する人をみてげんなりした話を書いたけど、アクティブラーニングはまさにそっち向いてつくられているようで、その点で魅力に欠ける。そして、協働が困難な人を排除しかねないところがアクティブラーニングへの不安として頭をもたげてくる。会場で配られたアンケート用紙(質問紙)でこのことをN氏(アクティブラーニングを実践している)に尋ねたところ、パネルディスカッションで取り上げてもらえたが(たぶん同様の意見が多かったのだろう)、こちらの質問の意図を理解していただけなかったのか論点がはぐらかされたようで残念だった。アクティブラーニングの代表格的にあつかわれる反転授業については、島田氏から納得のいく話がきけた。反転授業は科目数が多いと学生の負担が大きくて無理かもしれないと僕は思っていたんだけど、反転授業の本場であるアメリカの大学では学生の履修している科目が少ないので成立するという話。今後、実践例が増えてくればメリットとデメリットがもっと明確になってくることだろう。このフォーラムではもう1つ気になることがあった。2番目の演者の方が「教育大学なのに教師を目指す人が100%じゃないのが問題」ということを話の流れの中で言ってたんだけど、そんなとこで100%を目指さなくてもええやないか。たしかに、教員志望者が半数以下だと教育大の設置目的を考えて問題ありと思うかもしれないが、7〜8割もあれば十分設置目的を達成してるといえるんじゃないのか。寛容性が低いことは害悪であると思う。おもしろかったが、いままでに出たどの自由集会やフォーラムよりも、もやもやが残るものであった。
 夜はMatsut氏、増井君、oqさん、来年度うちの研究室にくるyg君と飲みに行くことに。師匠とも飲みたかったんだけど、師匠はケータイもたないマンなので連絡とれんかった。飲みに行く前にらーめんたべようと提案したら、意外なことにこれがすんなり通って、おいしい油そばにありつけた。そのあと、ぼんてん漁港という居酒屋へ。