草原をつくる演習

 1〜2限は、草原をつくる演習。年4回のうち今年度の最終回。近隣の未整備圃場の畦畔で種子を採取し、再生実験地に播種する。春のコースは年によってさまざまだが、秋のコースは毎年おなじ。一度は放棄されたかに見えたたんぼで管理が再開していたり、あるいはまた別の場所が新たに放棄されたり、その変動が思いのほか激しいことに気づいてきた。初年度から管理水準のメモをとりつづけていれば、いまごろ7年分のデータがたまっていたのに。ちょっと写真を見返してみようか。今年の大きな変化は、集落内の耕作地のを鉄溶接金網で全体的に囲んでいたこと。万里の長城のような鉄溶接金網の連続した柵。
 それから、コース内では随一の“種の豊かな畦畔”がいよいよ危うくなってきた。昨年すでに管理停止していた。今年、セイタカアワダチソウにおおわれている。かろうじて、オミナエシは生きていた。リュウノウギクもまだ生きているが数は減っている印象。そもそも、畦畔が茂りすぎて快適に歩けない。あまりにもったいなく、持ち主に変わって草刈りをさせていただきたいくらいだ。
 草原生植物の種子をあつめつつ、道中で出くわすおいしそうな実をすこしずつ食べながら進んだ。ムベは学生に好評。キカラスウリはかぼちゃの味と評された。まだ緑色ののこる未熟果だからか、たしかにカボチャの味だった。熟れてきたら干し柿の味になるのか、それとも個体差でこの株はかぼちゃ味なのかは不明。野生化したホオズキ(食用ホオズキに見える)があり、ちょっと食べてみたところ、学生がベイクドチーズケーキの味がするという。味見してみたらほんとうにそうだった。ひとくち目は美味しく感じるが、ふたくち目以降はだんだん魅力が低下する味。
 ノグルミの実がたくさんなっている。淡路島では「からすのくし」と呼ぶそうだ。ためしにノグルミの実で髪を梳いてみると案外よろしい具合。「からすの櫛というだけのことはあるなあ」とoqさんに問えば「くしってそっちですか。串かと思った」と返ってきた。数時間後、髪の毛をさわっていたら、ノグルミの実の鱗片がはらりと落ちてきた。
 

一昨年あたりまでは管理されていた未整備の棚田
 

セイタカアワダチソウにかこまれて小さく咲いているオミナエシ