滋賀県立大のカリキュラム改革についての記事

 m-urabeさんの寄生虫ひとりがたりで,ベネッセの雑誌記事へのリンクが紹介されてる.
 http://berd.benesse.jp/berd/center/open/dai/view21/2013/12/index.html
 K茂さんのインタビュー記事で,以前K茂さんから少しお伺いした「環境生態学基礎演習」のことや寄生虫ひとりがたりでよく出てくる教育ディベートのことに触れられている.まえから,滋賀県立大環境科学部のオムニバス授業のデザインがすごいと思っていて,自分の勤務先のオムニバス科目のありかたについて考えさせられることが多く,気になっていた.
 科目全体をとおして教員間の連携がちゃんととれているコース料理のようなオムニバス科目をどうやってつくるのかが知りたい.また,アドミッションポリシーとディプロマポリシーをしっかりとつなぐカリキュラムの実現の仕方が気になる.個人的には,今月の前半に教務委員のおしごととして研究科のディプロマポリシーのタタキ台をつくったり,遡って10月にはそのための講習会に参加してAP・CP・DPの関係を考えたりしてたからそのへんに興味がいく.
 記事には「『誰がどんな授業を担当できるのか』を起点に検討を進めたら、ディプロマ・ポリシーを体現したカリキュラムはつくれません。」「まず「学生に身に付けさせるべき力」という観点で授業内容を洗い出し、科目を設定してから、担当教員を配置するという手法を取ることにしました。」とあった.APとDPのギャップを埋めるために何が必要かを考える際のあるべき姿,王道といってよいカリキュラムデザインの仕方だと思う.しかし実際には前者の決め方で科目群が設定されることはしばしば起こっていそう.もちろん前者の場合でもディプロマポリシーあるいはそれに相当するものとの整合は考えられてはいるけれど,穴が残ってしまう感じ.後者の手法だと,穴がより少なくなるようなカリキュラムデザインができそう.
 記事のタイトルに"科目の属人化を解消"っていう言葉がでてきて,ちょっと衝撃をうけたが,読んでみたら属人化の解消という言葉からうける過激なイメージとはちがってた."科目の中で扱う内容がカリキュラムポリシーもしくはカリキュラムマップから逸脱すること"の解消といったイメージだった.
 滋賀県立大環境科学部では,その目標達成のために何をしてきたか.記事をよむと,ミーティングに多くの時間が使われていることがわかる.短いインタビュー記事だから全貌まではわからないけど,目標を共有した人たちが建設的な意見交換を頻繁におこない,それでもなお冷却期間をおいたりしながら,何年にもわたってカリキュラム改革を実施したことが伺えた.
 「教員が授業について話し合う土壌」があったとも書かれている.この土壌を醸すところまでが最初のステップかも.