えのすい

 江の島へ行った。関西人にとっては虚構の地なのか実在するのかがまずナゾであったが、行ってみればたしかに江の島が実在していた。懸垂モノレールのひなびた駅から海へと歩く。くそ暑い。江ノ電(これも実在していた!)の線路を超え、小田急の竜宮城のような駅を横目に歩く(この駅も子供のころに鉄な本で見たことがあったけどほんまにあったんや!)。
 目的地である新江ノ島水族館にほどなく到着。9時の開館から50分ほど経ってしまったが、まだそれほど混雑していない。よかった。
 クラゲで有名な水族館。さすがにクラゲの展示はおもしろかった。クシクラゲかっこいい。生きたサンゴもとてもきれい。
 が、なにより萌えたのはしんかい2000の展示と、そこにおいてあったスケーリーフットの標本だ。まさかこれの実物を見られるところがあるなんて。感動。このほかも全体に展示物の説明は硬派でありながらも分かりやすく、たとえば浅い海の生態系と深海の生態系の比較や、鯨骨生物群集の説明などはわくわくした。鯨骨生物群集って今まで知らなかったけど、おもしろいなあ。クジラの骨格標本で迫力を感じていたあの脂が起点となってそんな生物群集が成立していたとは。これを知ったうえでもういちどクジラの骨の脂のにおいをかぎたくなった。においをかいで鯨骨生物群集に思いを馳せたくなった。大阪自然史のマッコウクジラはにおわないから、ひとはくのナガスクジラをまたくんかくんかしたい。
 3時間ほど滞在して、まだまだ見たりないと思ったけど、新幹線の時間があるから出発。この水族館はとてもおもしろかったので年間パスポートを買いそうになった。でもなんどもこれないと思いとどまった。帰路、江ノ電の駅に向かう途中、釜揚げしらす丼と生しらす丼を食べた。とてもおいしかったけど、これが地雷な店で、めちゃくちゃ待たされた。店内は満席だったのでノートに名前を書いた。ぼくらの前に待ってたのは1組だけ。すぐに入れると思ったら甘かった。そこから炎天下で50分も待たされるとは。そして着席して注文してから出てくるまでにさらに40分。信じられない回転率の悪さ。関東ではあれが普通なのか?結局予定していた新幹線に乗れなかった。


硫化鉄のウロコを持つ巻き貝,スケーリーフット