コウボウムギの芽生え

 群落最前線にはコウボウムギの芽生えが多数.
 10年くらい前,コウボウムギの芽生えを継続的に観察したことがある.コウボウムギの芽生えは4月〜5月ごろは多く見られるが,梅雨入り前の暑く乾燥した時期にすべて枯死した.
 砂質の海浜では地表付近の数センチ〜10cm程度の厚さで乾燥した砂の層があり,それより下にいけば水分はある.乾燥砂層の厚さは天候によって日々変化するが,概ね冬には薄く,夏に厚い.
 地表付近でタネが芽生えた場合は,乾燥砂層の発達に根の生長が負けつづけると枯死することになる.一方,堆砂に埋もれるなどして,ある程度深いところで芽生えたタネは乾燥砂層にまきこまれる心配は少ないが,地上まで葉を出せるかどうかが勝負どころだ.
 梅雨入り前の5月のうちからバカスカ雨が降るような年は,地表付近で芽生えたコウボウムギの実生にとって,定着するチャンスが高まるだろう.この時期の天候によって定着しやすい年とそうでない年がありそうに思う.