貝類館

 「西宮市貝類館」へ行ってきた.おしゃれで楽しい展示がすばらしい.建物は安藤忠雄っぽいと思ってあとから調べたらやっぱりそう.
 この秋に食べたタニシの殻(ちょっと臭い)を持っていった.これまでに図鑑で絵合わせ同定した結果はオオタニシ.今回,淡水の貝のコーナーで展示標本と見比べてみると,やっぱりオオタニシでいいみたい.でも,ほかにも質問したいことがあったので,迷惑かもしれないと思いつつ,研究員のWさんに質問させていただいた.快く対応していただき,ありがとうございます.
 まず持参の貝殻はオオタニシで合ってた.wさんによると,オオタニシは山間の池でよく見られマルタニシは平地の池でよく見られるそうだ.
 つぎに淡路島の通称“からすがい”について聞いてみた.研究室の学生N君が淡路の山間集落で聞き取り調査をしていると「池の“からすがい”を焼いて食べた」という話がちょこちょこでてくる.この“からすがい”の正体について,聞き取りを開始した当初は,標準和名カラスガイを指すものと単純に思っていたが,人と自然の博物館のMさんから「ドブガイとちゃうか」と指摘され気になっていたのだ.たしかに方言名をそのまま標準和名と理解するのは甘すぎる.池でつかまえるのが一番いいのだけど,池には大型の二枚貝がぜんぜん見あたらない.からすがいの正体は何の可能性があるのかWさんに聞いてみた.Wさんによれば,カラスガイとドブガイ,どちらの可能性もあるとのこと.カラスガイもドブガイも淡路島に分布はあるそうだ.貝殻のちょうつがいの部分だけでも手に入れば同定はできるとのこと.農家では,貝をたべたあとの貝殻を裏庭に捨てることがあるらしいので,そのような貝塚にいきあたれば同定可能な標本が得られるかもしれない.
 ドブガイといえば,探偵ナイトスクープで「臭くて食べられない」というような描写があった.ネット上にもその情報が多数残っている.しかし,淡路島での聞き取りで“からすがい”が臭かったという話は聞かない.このことをWさんに聞いてみたら「水がきれいなため池なら,それほど臭くないのかもしれない」とのこと.言われてみると,からすがいを食べたとの聞き取り情報は,尾根に近い上流部の集落(つまり,水がきれいな地域)に偏っている.
 今回の質問をした際,下記の書籍を示しつついろいろと教えて下さった.よい本だということだろう.帰ってから,2冊とも発注した.

日本産淡水貝類図鑑〈2〉汽水域を含む全国の淡水貝類 (ピーシーズ生態写真図鑑シリーズ)

日本産淡水貝類図鑑〈2〉汽水域を含む全国の淡水貝類 (ピーシーズ生態写真図鑑シリーズ)

日本産淡水貝類図鑑〈1〉琵琶湖・淀川産の淡水貝類 (ピーシーズ生態写真図鑑シリーズ)

日本産淡水貝類図鑑〈1〉琵琶湖・淀川産の淡水貝類 (ピーシーズ生態写真図鑑シリーズ)