聞き手を観ながら話そう

 今日の演習科目ではこれまでの成果をグループ単位で発表してもらった.発表内容はちゃんとしていたが,話し方に問題ありの人が多かった.聞き手に向かわず,スクリーンを向いてしゃべっている.露骨に聞き手に背を向けているひとはさすがにいない.でも,スクリーンの端っこに立って,体はナナメ45度で聞き手に向かい,顔はナナメ45度でスクリーンにむきっぱなし.本人は聞き手に向かってるつもりかもしれないが,それは聞き手に向かっているとはいわないんだぜベイベー.
 
 聞き手に向かって話をすべき理由はいろいろあるが,僕が一番重要と思うのは,聞き手の発するサインをもらうことだ.発表中に聞き手の頭上にクエスチョンマークが浮かんでいたら,説明を付け足して理解しやすくする.あるいは自分の言い間違いに気付く.聞き手が退屈のサインを発していたら,気を引くなにかをする.それができなくても,発表がまずかったことに気付く(これはこれで大事なこと).もちろん聞き手が驚いてくれたり,わらってくれたりしたら,その内容や話し方でいいと思える.
 聞き手に向かうことで,聞き手のサインを受け止められる.それをその場で,あるいは次の機会にフィードバックする.このように,プレゼンは(質疑応答のときだけじゃなく)発表の最初っから双方向だ.
 
 そうか.聞き手に向かって話そう,というからいかんのか.いいなおす.
 聞き手を観てサインをうけとめながら話そう.
 
 聞き手の方を向いてない人は,スクリーンに話す内容が全部書かれているからそっちを見てしまうのかもしれない.話す内容をすべてスクリーンに投影しなくてはいけないと思っているようだ.まるでスライドが主で,話が従.そうじゃない,と僕は思う.話が主で,スライドは補助.スライドに話すとおりの文をかきこむなんて「聞かなくていいよ」って言ってるようなもの.