祭の終わりはちょっと切ないけどいろんな発表聴けて楽しかった日

 ついに学会最終日.僕にとっては1年で一番の祝祭の日々が終わろうとしているので,最終日の朝はなんとなく切ない.遠方の人の中には最終日は参加せずに帰ってしまった人もあり,少し人口が減っているのもまた切なさの色を濃くする.
 午前中はEAFESシンポジウムの08,「Hot spots in agriculture ecosystems」を聞きに行く.韓国のCCZの水田に関する発表まで聴いて,ぐったりとしてきたので会場特設の本屋さんへ.
 昼はランチョンセミナーに参加.おそらく僕には一生縁がなさそうな一流紙に論文を通すプロセスについての講演がむちゃくちゃ面白かった.一流紙には縁のなさそうな僕ではあるが,教えていただいたことは,僕が投稿するクラスの雑誌に通そうとするときにも役立ちそうなことだらけだった.それにしても,すごい人だった.なにもかもお見通しで仕事ができているような.圧倒的な頭脳.
 遅めの昼食を閉店間際の学食でとり,のこるは口頭発表のセッションを聴くのみ.I2-16「ハマボウの遺伝構造」の話が面白かった.海流散布が得意なハマボウだが,紀伊半島潮岬を境に,西側の紀伊水道周辺個体群と三重〜静岡の個体群とで遺伝的に隔たりがあるという話.海浜植物や塩湿地植物の遺伝的多様性の構造にはとても興味がある.しかし,これまでのところ,ちゃんと調べられている種が少ない.まして,おなじ本州沿岸個体群で遺伝的な地域性が明瞭に出ているというのははじめてかも.発表後の質疑のときに質問を2つしたが時間切れで,1つは回答をもらえなかったので,廊下で延長戦.演者の学生さんとディスカッションをして有意義でこれまた楽しかった.
 それから,初日の自由集会の共同企画者に誘って下さったH山さんから,学生の修論のことで意見交換.会期中にやっておきたいことだったので,最終日の午後にこうして会えてお話しができてよかった.
 口頭発表セッション,I2-22は初日の自由集会で発表をしてくださったH石さん.都会の緑地での自動撮影カメラを用いた哺乳類モニタリングの発表.ネコやタヌキやハクビシンの人知れずおこなわれている生活がすこしだけ見え隠れして楽しめた.これを聞き終わってダッシュでH教室へ.H2-23まきぞうさんの森林植生についての発表を聴いた.シカ食害の程度が中程度の森林で種の多様性が最も高い(中程度攪乱説)という現象について,採食圧が高いところでは採食圧がフィルターとなり,低いところでは種間競争がフィルターとなり,中間のところではどっちのフィルターもあまり働かず種数が最大となる,という予想を群集生態学の手法でときほぐしていくもの.シカのインパクト強度を横軸にとり,林相タイプ別に種ごとの生育範囲を表した図がとても美しかった.わかりやすくて,かっこいい発表だった.あこがれる.
 この発表を聴いてとてもキモチが満足したので,帰ることにした.瀬田から快速で乗り換えることなく三宮.もうすっかり夕方.陳麻家油そばを食べてバスにのって淡路.
 低下しがちな研究モチベーションのV字回復を成し遂げて,春の一大祭典がおわった.しばらくは祭の余韻が脳に体に残るだろう.睡眠不足とかそういう形で.じゃなくて.