ウナギカケ

 先日のカイボリでは65cmほどのウナギに出会った.そのウナギを仕留めた道具がこのウナギカケだ.このあたりの農家では,数年に1回のカイボリに備えて,このウナギカケが装備されているらしい.
 長さ40cm弱,厚さ2mmほどのブレードに100cm〜150cm程度の柄が付いている(ウナギカケの横においた折り尺は100cm).この柄はヒサカキ(地元ではビショギとよばれる)の幹.そのへんの山でとってきた材だ.
 カイボリで浅くなった池で水面付近を泳ぐウナギにすかさず駆け寄ったおじさんがこのウナギカケを一振り.みごとにウナギにひっかかって,ウナギは陸になげとばされた.柄を長めに持って,ブレードの弧がでっぱってる方を前にしてスウィングする.すると,ウナギの胴がブレードの弧にそって先端へと誘導され,先端部のフックにひっかかるというしかけ.じつによくできたデザイン.
 ウナギは皮の硬い魚なので,これしきのフックでは致命傷を負うことはなかった.ちょうど僕の目の前にウナギが落ちてきたので,ウナギをつかんで楽しんだ.マンガなどでは,ウナギがどんどん前にすすむのを右手左手右手左手と持ち替えながらあたふたする描写がおなじみだが,僕がつかんだウナギはバックで逃げようとした.ウナギをひっかけたおじさんから「首をぎゅーっとつかめー!」とアドバイスがとんできた.
 通常,カイボリの1日目はコイとフナを捕り,2日目にウナギを捕るのだそうだ.1日目はウナギは泥に潜っていて見つけにくいけど,2日目になるとあちこちから出てきて見つけやすくなるからだそうだ.なので,今日つかまったのは運のわるいウナギ.