2日目,天草下島一周→熊本市へ

 あいにくの雨.海も荒れているようなので,イルカ見物の船にのるのはむりっぽい.野生を見る魅力には遠く及ばないが,一人旅ではないので,本意ではないコースもいたしかたなく,本渡市内にあるイルカを飼っている施設に行ってみた.せっかくなので入館料+200円を支払ってイルカと握手だのキッスだの,自分らしくないことをすることとした.ちいさな水槽にオニオコゼが2個体はいっていて,水深によって色が違うということを展示していた.深いところのオニオコゼは黄色いのだそうだ.なんで色がちがうのだろう.理由についての説明はなかった.気になる.イルカのいるプールへ行ってみた.イルカ2頭が自由におよぎまわっていた.プールの岸によってみたら,イルカが人間に興味を持って近づいてきた.200円はらわなくても,イルカと握手できるんではないかと思ったが遠慮しておいた.フンボルトペンギンに餌をやった.飼育係のかたから注意事項を聞いた上で,キビナゴを与えた.うまく頭から飲み込んでいた.それがおわるといよいよイルカとふれあう時間となった.イルカにサインをおくると,握手やらキッスやらをしてくれる.こ,これは.めろめろになる人がいるのも頷ける.いるかとはそういうヤツであった.
いるかさん
 つづいて,羊角湾にいってみた.あのように深い入り江というのは,それだけで興味がわく.が,クルマを走らせてみると,これが意外と遠いことがわかった.羊角湾に着いたらもう昼だった.湾の北岸づたいにクルマを走らせ,崎津の天主堂を見学.崎津の集落では,スギの葉っぱで羊羹をつつんだ「杉ようかん」なるものを売っているようだ.店に行ったが品切れだった.日曜はつくらないのかもしれない.いろんな葉っぱ餅について調べたことがあるが,杉でつつむというのはみたことがなかったので是非購入したかったが,残念だ.
 天草は長崎がちかいせいか,ちゃんぽんの店がけっこうある.レンタカー屋や飛行機の中でもらった地元情報パンフレットがオススメしている店が羊角湾のそばにあるので,そこで昼食とした.具は少なめでたよりなかったが,魚介だしのおいしいちゃんぽんだった.もう昼をずいぶん過ぎてしまい,このあとの予定に難がでてきそうなので,羊角湾南岸を散歩するのは今後の課題(次回はいつだ?)とし,島の西海岸を北上.地形や風景は男鹿半島の西海岸とよくにていた.植生はぜんぜんちがうけど.
 苓北町に着いて,まず,富岡城趾にのぼり,バリアフリーとはほどとおい,階段をのぼりきった場所に建設された真新しいビジターセンターを見学した.天草の自然について簡単に知ることができる.それから待望のハマジンチョウ自生地へ行った.あめのなか,すべりやすい礫浜を歩き,ハマジンチョウの花をみることができた.人生初ハマジンチョウである.なんともおもしろい模様の花だ.12月から3月という花期がまたおもしろい.なんでそんな時期なんだろう.九州大理学部付属天草臨海実験所の研究者のかたが調査をしているらしく,看板がつけてあり,また,いくつかの花には袋かけがしてあった.研究成果を読みたい.砂州の対岸の褚山陽公園というところにハマジンチョウの植栽がある.花も葉も,僕が見た自生個体とはびみょうに違っていた.もっとも僕は自生1個体,植栽1個体しか見ていない.たんなる個体差か.
自生のハマジンチョウ
褚山陽公演の植栽ハマジンチョウ
 このあたりで夕方になってしまった.今宵の宿は熊本市内だ.たどりつくまえに夕食もとらねばならない.苓北町を後にして,ゆるゆると天草諸島を西進していくこととした.道中,天草上島の灘やという料理屋へ立ち寄った.ここで貝汁定食を注文した.えらくでかいお椀にはいった貝汁がでてきた.アサリが大量に入っている.かぞえてみたら,49あった.さらに,種不明の二枚貝が1つまじっていた.アサリの出汁がよくでていてすごくおいしい.貝汁のほかに,刺身盛り合わせと鯖の煮付けがついていた.刺身ではたいへん甘くおいしい貝柱があり,これはタイラギかと思ってたずねてみたら,タイラギだった.人生2回目のタイラギである.またたべたい.ところで,友人からの情報によれば,道の駅不知火の貝汁定食の貝汁には,アサリが100以上入っているという.それについては今後の課題とした.
貝汁定食の貝汁.右は比較のために置いた焼き魚定食についていた貝汁.
アサリ5個体を一山として並べながら食べた.手前右はアサリじゃない.なんだ?
 熊本市を目指し,雨の夜を走った.熊本市ではたいぴーえんを食べるつもりだったが,貝汁定食があまりに満腹にさせてくれたため,たいぴーえん,断念せざるを得なかった.これもまた今後の課題となった.宿は水前寺公園ちかくの路面電車の線路に面したビジネスホテル.窓から線路をながめて,しばらく楽しんだ.