種子島

 土曜の夕刻に出発して,日・月と2日間,某先生と共同の調査(あるいはお手伝い)で,種子島の海岸に行ってきた.種子島への上陸は自分史上初.前々から,種子島海浜植生のすごさは耳にしていた.ポイントは,浜から砂丘まで,草本植生帯から低木林をへてタブ林まで,人工構造物も植林も挟まずに,一気に連続しているところ.こういうサイトでは,人為が強く影響する前の海浜の姿をきちんと知ることができるだろう.今回,その海浜植生を実際にみられたことが嬉しい.
 気になったのは,もしかしたら種子島でも海岸侵食がおこっているかもしれないということ.4箇所の海浜を歩いたが,どの海浜でも前砂丘の前端が浜崖状にくずれていた.ただ,このような形は,砂丘の成長と浸食が動的にバランスしているときでも起こりうるので,1回みただけではなんともいえない.撮影年代の異なる空中写真をならべてみればわかるかも.
 自分の暮らしているところから離れた場所に調査にいくと,まず植物がわからない.僕のように,自分の暮らしているところでも,ちょっとむずかしい植物の同定には自信がなくなるようなものがいくと,ますますわけがわからなくなる.だから,本当はもう少し長く滞在して,最初の1日か2日くらいは,植物に慣れることに専念できるといいのにと思う.遠くに行ったときに怖いのは,自分の知っている植物にまちがって当てはめてしまうことだが,その意味では,近縁種についての予習もちゃんとしないといけない.南九州以南に行くと,図鑑に図版や詳細な解説がでていない種(特に定番の草本図鑑は南九州以南に弱いらしい)がけっこうたくさんでてくるので悩ましい.