竹を伐るのなら九月

 ちょっと古い(といっても昭和の中頃に建てられた)農家の土壁.細く割いた竹をわら縄で編み,わらすさを漉きこんだ泥で塗られている.この写真は家の内側から内装を剥がした状態で撮影したもので,土壁は外側から塗り込まれている.竹を編んだ網の目から泥が押し出されて垂れて固まっている.伝統構法の建物ならばいまでもこういう凝ったことをするのかもしれないが,たいていこのあたりは石膏ボードに置き換わっている.竹のつかいみちはこういうところでも失われている.
 高齢の大工さんによると,土壁に使う竹は決まった時期に伐らないといけないらしい.

 ええ時期に刈った竹やないと土壁の中で竹が腐ってぼろぼろになってまう.こんなふうに何十年たっても残るのはええ時期に伐ったからや.竹を伐る時期は九月よりあと.旧暦の九月な.そやからいまでいうたら十月か?それより後に刈らなあかん.それも霜が降りるまでや.霜が降りたらもうあかん.


(追記)
 この竹を編んだものを「竹小舞(たけこまい)」というそうだ.
参考:土壁ネットワーク→http://www.tutikabe-net.jp/kagawasekou.html
   金沢市の建設会社「夢工場」→(http://www.kanazawa-net.ne.jp/~yume/takekomai.html