植生学会@仙台 2日目 一般講演
受けもち学生がポスター会場に現れたのは10時ぎりぎり.いそいで貼ってから口頭発表会場へ向かったが,すでにA02の途中だった.A03,B04をみてから,まだ空いているポスター会場へ.演者不在のポスターをいくつか眺めたあとB07,B08をみた.
ここまでで面白かったのはB04.岩や崖の海岸にみられる小規模な湿地群の植生.たしかにそういう植生あるけど,微細な立地が多い.これをきちんとまとめようとしたところが盲点を突かれたかんじ.おなじような植生を京都の久美浜でもみたことがある(2011年9月19日の日記参照).それからB07.フモトミズナラは黒雲母花崗岩地帯の痩せ地にしか出現しない.その至近要因に迫ろうという研究.これがぶっちぎりの面白さ.演者のHさんがひょうひょうとしてキャラ立ちすぎでおもしろいのもあるが,27年間にわたる実生の生残実験がすばらしい.たった1つのグラフだけど,その説得力たるや.B07は午後の発表も含めてベストパフォーマンスだった.
昼はポスター発表コアタイム.Apocynumの共同研究の発表と,受けもち学生のジュルタの発表があって,それらのポスター前でどのような議論が展開されるか非常に気になるが,所用のために他のポスターを優先して見る必用があって,ずっとそこにいられなかった.
P06のニワウルシ林はさすがのおもしろさ.シカ植生としては極めつけの感がある.ちょくせつ聴きたかったが,無人のときに眺めたのみ.P28のガーデニング植物の逸出に関する発表,日頃の印象よりもガーデニング植物がはびこっていない印象だったが,これは淡路島より冷涼な宇都宮だからかもしれない.P19の佐渡島の林間放牧とその放棄地の話は意外性があっておもしろかった.放牧地のうち北西斜面はもともと風衝草原だったため,放牧停止後に森林へと遷移せず自然草原にもどっていくらしい.P01〜P05の津波関連発表や,P25のハマゴウ群落の成立過程も気にはなったが,ちゃんとみられず.コアタイムに用事があるのはやっぱりちょっとつらいな.でもまあ聞き逃した分はまたいつか聴く機会はあるだろう.
午後の部はB09,B10,A12,A13,A14を聴いた.A12はクリンソウやミヤコアオイへのシカ害に関する実験だが,実験半ばにして絶滅の危険が増大したために対照区の個体にもケージをかけざるを得なかったという.データ取得から絶滅回避への方針転換のタイミングを見極めるのはむずかしそうだと思った.A13は解析の手法がむずかしすぎて全くついていけなかった.ぜひその手法を植生情報誌で解説してほしいと思った.