不自然な半自然草原

 半自然草原の創出実験地。もともとは外来牧草+外来ワイルドフラワー類によって緑化された造成斜面。ここに、周辺の畦畔からタネをあつめ、畦畔草原の構成要素を導入してきた。外来種だらけの造成斜面に畦畔の草原生植物を導入できるのなら、圃場整備で造成された畦畔にも衰退しつつある草原生植物を再導入できると考えているから。
 で、ここまで数年間やってきて、タネをばらまくことでそれなりに草原生植物は入ってきた。また,外来種対策も併せて実施しているので,春に優占していたネズミムギや、夏から秋に優占していたセイタカアワダチソウは顕著に減ってきた。そして今、目の前にひろがる風景に違和感を覚えざるをえない。導入した草原生植物、チガヤ、ノアザミウツボグサなどが半自然草原らしさを醸す一方で、当初導入されていた外来ワイルドフラワー類が健在で、なんとも違和感がいわいわと沸き立つ風景。在来の草原生植物とともにヒルザキツキミソウ、セイヨウミヤコグサ、シロバナマンテマなどが咲き競う。なにか悪い冗談のような風景だ。優占していない外来種はこれまで目をつぶってきたが、半自然草原の組成と景観(風景の意味も含む)を復元するには、優占種ではない外来種にも手を付ける必要がありそう。そうなってくると自分がやっていることが保全なのか造園・緑化なのか、よくわからなくなっていく。