スーパーマーケットの方言

 僕は保守的だからというわけでなく,多様性が好きだから方言が好きだ.地域間の違いは残っているほうが楽しい.淡路島のひとがヒガンバナを「たこいも」と呼んだり,チガヤを「つんつん」と呼んだり,カラスノエンドウを「しーびび」と呼んでいるのを見るとうれしくてしかたがない.
 うちの近所にある淡路島資本のスーパーマーケットの総菜売り場で「関東煮」と書かれたパックがあった.すばらしい!これ,読みは「かんとだき」である.たぶん関西一円でつかわれている言葉.しかし,いまやどこのコンビニにいっても「おでん」,スーパーでもたいてい「おでん」.お好み焼き屋でも「おでん」にすっかりやられている.たしかに僕の世代では「かんとだき」を使うヤツは少ない.けど,小学生の頃の給食のこんだて表には「関東煮」の表記が生きていたし,聞いて通じないことはない.父親世代(団塊のちょっと上)はまちがいなく「かんとだき」しか使わなかった.
 このスーパーは方言を維持しておってすばらしいとおもって総菜売り場をずーっとながめていたら,「メンチカツ」表記にぶつかった.
 そこは「ミンチカツ」やろ.いつのまに「メンチカツ」という東京もしくは東日本っぽい言葉が浸透してきたのだろう.たぶん僕の世代の関西人でメンチカツに違和感をいだかない方が少数派だと思う.不思議なのが,ミンチのカツをなんでメンチカツというのかということだが,うわさによると東京方面ではそもそもミンチといわずに挽肉というらしいが,ほんとうなのかな.