里山林を管理する演習(3)

 6月17日6月25日に引き続き,里山林を管理する演習の3回目.ざんねんながら小雨.雨の中の作業.
 6月25日に常緑樹のほとんどを除伐した.それに対して植生がどのように反応したかを調べた.
 林床の芽生え.対照区はシロダモがほとんどだったのに対し,管理区ではヤマハゼ・アカメガシワ・カラスザンショウが数多く現れ,また,対照区にみられないヤマザクラやコナラの実生個体が少数ではあるが確認できた.草本は現段階では変化なし.
 除伐した常緑樹の反応.ネズミモチが60cmくらいの萌芽枝3本ほどを延ばした.ヒサカキは数多くの萌芽や不定芽を出したが,それぞれ10cm程度の短いものばかり.伐採後の萌芽を除去する作業を「芽かき」と呼ぶ.たしかに今の時期の萌芽は指先でかき落とせるくらいのやわらかいものだ.実際に管理作業をやってみたことで芽かきという名がしっくりときた.
 環状剥皮(巻き枯らし)をしたところはどうなったか.幅20cmくらいの環状剥皮だったが,カルスで上下がつながったものがあった.生命力つよすぎ.また,地上1.3mくらいで環状剥皮をやったが,ヒサカキではその下部からたくさんの不定芽がでた.これでは巻枯らしにならない.環状剥皮は,より幅広く,より低い位置でおこなう方が効果があるのかもしれない.
 以上のモニタリングのあとで,木本実生や稚樹の山採りを実施.対象とする種は落葉広葉樹二次林の構成種.すっかり常緑樹におおわれた暗い林内では,落葉樹種の芽生えは少ない.林縁(道との境界)の刈り取り帯で,ネザサに埋もれるようにして生きていたコナラやガマズミなどの芽生えをいくつか見つけ,これらを直根を切らないように掘り取って,深型のポットに植えつけた.地域性種苗の流通がほとんどない現状では,地域性種苗は委託栽培や山採りをおこなうことが多い.それで,山採りを行う場合の時期選定の重要性を実感してもらおうとして,試行した.
小雨のため写真を十分にとれなかったので,明日以降,撮影にいっておこう.また,少数ながら確認されたヤマザクラとコナラの芽生えについては,踏みつけや誤って刈り取ることを防ぐため,竹筒をかぶせておく必要がある.