草原をつくる演習(2)

 前回5月7日のつづき.実験地は前回の演習のあと,6月1日に,業者がきれいに刈り取ってくれた.草刈り後はブロワーで切った草を1箇所に集め,運び出していた.このとき,まだネズミムギは開花中で,結実はしていなかった.したがって,実験地のうち,刈り取りをする区画では,予定通り,ネズミムギの結実散布前の刈り取りが完了している.
 今回は,近隣の畦畔にでかけ,畦畔草原の構成種の種子を採取し,2つある実験地のうち1つに播種するというもの.もう1つは播種をしない処理区.
 午前中に作成したレジュメで今日の演習の概要を説明して,種子採取に出発した.種子採取範囲は,実験地と同一水系内であり,かつ,演習時間内の徒歩圏内とした.種子を採ったのは,チガヤ(穂のかず634),ノアザミ(頭花で16),ヒナギキョウ(果実で40),ウツボグサ(花序で46),ミヤコグサ(果実が22),オニタビラコ(頭花で150),ノゲシ(頭花で30)など.欲しかったけど得られなかったのは,キジムシロやオヘビイチゴスズメノヤリなど.これらはすでに終わっていた.
 採取した種子をすぐ実験地に播種した.冠毛の除去などはいっさい行っていない.これがどのようになるのか,楽しみだ.

 ここで1つの不安.仮に今回植え付けたものが活着し,来年度,伸びてきたとする.同時に,埋土種子や周辺から侵入したネズミムギも相変わらず多くでるだろう.となると,今回植え付けたものが結実するよりも前にネズミムギの早期刈り取りをすることが困難になってしまわないだろうか.選択的な除草は現実的でないし.
 そう考えると,初年度にネズミムギを早期刈り取りしたあとで,チガヤのみを膨大な密度で播種し,その後の数年間,ネズミムギが衰退し,チガヤが栄養繁殖によって優占化するまでは早期刈り取りをつづけ,その後で,他の構成種を入れたほうが懸命なように思えてきた.まあ,やりながら考えよう.