畦畔草原の観察

 朝早く,学校内でトラツグミの声.コジュケイの声も.
 1限,1年生の基礎演習の授業.他分野から進学してきた学生たちに基礎を伝える講義だ.今日は僕の担当ではないが参加.前半は座学,後半は学内の実習林(環境修復ゾーン)をあるきつつ観察.アミガサタケが生えていた.タラの芽はすっかり伸びてしまった.うっかり.タラの芽を求めていた知人がいるのだけど,もう少し早く連絡してあげないといけなかった.サルトリイバラの花が満開.おわりごろか.ゆすると落ちる.何か鳥の羽が散乱している.何の羽だろう.ひょっとしてトラツグミか.
 2限から昼休みにかけて,おおいそぎで3〜4限の演習の準備.
 3〜4限,1年生の演習.今年から開講のあたらしい科目.学校からマイクロバスにのって30分.棚田地域で畦畔草原の観察と調査.まずは畦畔の多様性をたのしんでもらおうと思い,ゆっくりと歩く.おもしろすぎて,夢中になってしまって,なかなか調査をはじめられなかった.そのために,整備後の圃場での調査は割愛.整備工事の様子を見るにとどまった.
 スズシロソウは花期おわりかけ.キジムシロ満開.コバノタツナミ,ノミノフスマ,コオニタビラコなどかわいらしいのがたくさん.ホタルカズラは花期のはじめごろか.つぼみもたくさん.アキニレの葉っぱもこの時期はさすがにやわらかい.かわいい虫こぶがついている.アキニレハフクロフシだろうか.
 畦畔を歩いていて思ったこと.ひとくちに畦畔草原とよぶが,その実態はかなり複雑だということ.畦畔草原の立地は,刈り取りによる攪乱だけでなく,場所によっては踏圧がつよかったり,また,畦の田んぼ側と外側でも植生が違っている.攪乱の体制だけでなく,水分条件やら土壌の礫の割合やらいろいろなちがいがあって,実は小さなスケールでは異質な群落の複合なのだと実感.
 今回,畦畔草原を演習で観察しているのは,とある計画のはじめの1歩.5月7日に計画の2歩目を歩む予定.
 淡路島出身の学生がカラスノエンドウをみて「私はこれを『しびびびー』と呼んでいた」と言ったので,みんなで笑う.その名前,おもしろすぎる.その学生がいうには「わたしの母親は『しーびびー』と『び』が1個すくない呼び方をしていたが,わたしやともだちは『しびびびー』だった」らしい.研究室にもどってから例によって八坂書房の「日本植物方言集成」をひらいてみたら,果たして淡路島の方言として「しーびび」が採録されていた.すげーな.この本.「しーびび」に近い呼び名は,日本各地でクサフジなどにも充てられているらしい.いったい「しーびび」の語源はなんなんだろう.
 5限は教授会.これまでは教授会は教授だけが出席すればよく,ぼくなどは下っ端の気軽さを享受していたが,今年から規則が変わって,下っ端教員まで教授会に出席することになった.
 5限を終えて研究室にもどると,1年生の1名が進路相談に訪れたので対応.そのあと明日に構想発表会をひかえた学生の相談など.