ソルトスプレイ

 今日は風が強かった.調査地の海岸では,季節風にあおられた波しぶきが霧のようにとんできた.ソルトスプレイというやつだ.ソルトスプレイは海浜植生の成帯構造の形成要因とされることがある.
 この海岸(西向き)では,春から秋までは,台風時をのぞけばソルトスプレイはさほど深刻ではない.冬型の気圧配置となったとき,北西季節風によって吹き寄せる高波のため,はげしいソルトスプレイが頻繁に発生する.この季節,ほとんどの植物は冬枯れていて地上部で生きている葉っぱは少ない.海浜の草原でソルトスプレイの影響を強く受けるものがあるとしたら,秋に芽生えてロゼットなどで冬を越す冬型一年草くらいだろうか.しかし,それらにしても,多年草の枯れ葉や枯れ茎にうずもれていて,それほど深刻な被害を見舞っているようには見えない(ちゃんと調べないと分からないが).ソルトスプレイの多くは海浜の草原を吹きぬけて,背後のクロマツ林に吸い込まれているように見える.