今日の演習

 火曜日は1年生必修の演習.今回は花の庭の植え替え.
 この学校の庭園は,学生たちの実習の場であると同時に,一般に公開されている公園でもある.園芸好きな人には人気のスポットらしく,毎日たくさんの人が訪れ,散策している.
 庭園の一角に,完全に学生だけで管理しているエリアがある.「完全に」とはどういうことか.設計(デザイン)も施工も苗の生産もすべての工程を学生たちがやっているという意味だ.今回の演習では,冬から春の花壇を施工した.施工は晩秋の今やっているが,今日のための苗の生産やデザインは,学生たちが夏前から進めてきたものだ.
 花壇の施工・模様替えというのは,なかなか大変な作業だ(僕はこの学校の教員になるまで知らなかったが).そこに生えてるすべての植物を(草本も木本も)抜き去り,あらたに施肥し,耕耘し,地形を見栄えよく慣らし,レンガや枕木などの構造物を設置して水平出しをし,植栽のガイドとなる水糸をはって,生産した大量の苗をデザインどおりにならべ,植え付け,バーク堆肥をまき,防虫剤をまき,水を播く.そこまで終わってもまだ演習はおわりではなく,今回撤去した植物のうちまだまだ使えるもの(木本や多年草の根茎など)を,次の出番に備えるために,育苗ポットなどに植えつけて温室に持ち込んだり,球根状態で乾燥保存するなどして,保管する.そこまでで一連の作業.
 1限から始めて,日が暮れたころにやっと終わった.実際に,造園設計・施工の会社に就職したとしても,苗の生産,デザイン,施工の一連のすべてに通して関与することはないらしい.その意味で,貴重な演習なんだそうだ.
 今回撤去した植物のなかにイポメア・バタタス・ブラッキーというものがある.イポメア・バタタスは,サツマイモの学名.ブラッキーは銅葉(どうば)の品種の名前だ(黒紫色の葉をつける品種を園芸では「銅葉品」と呼ぶ).で,こいつを撤去したとき,地中にはたくさんのイモができていた.葉っぱは紫色なのに,イモは真っ白.でも形はサツマイモ.味はイマイチだそうだが,説明されてもわからん.食いたい.その「イマイチな味」とやらを味わってみたい.

 演習がおわって真っ暗になってから,週末の自然観察会の準備.観察会の行程を考え,レジュメを作成しなくては.でも疲れてたのでそれほどすすめられず,行程を作り上げた段階で沈没.