スナックパンをにぎりしめ

 集合時間にちょっと遅れた学生が,朝食のスナックパンをもっていた.僕はスナックパンをにぎりしめて圧縮してから食べるのが好きだ.というか,スナックパンのいちばんおいしい食べ方がにぎりしめ圧縮なのだ(もちろん僕の知る食べ方の範囲に限る).パン製造会社におかれましては「お召し上がりの直前に強くにぎりしめて圧縮していただくと,いっそうおいしくなります」と袋に印刷していただきたい.そのまま食べるとぱさぱさしているスナックパンが,ぎゅっとにぎりしめると,俄然,しっとりもちもちとした食感に変化する.件の学生にこのことを伝えると,次長課長の井上もそんなことを言っていた,という.次長課長井上は僕よりもさらにステージの高いパンにぎりしめ派であるらしく,あらゆるパンをそのように食べるという.と,そこへ別の学生がやってきて「僕はメロンパンをお尻の下に敷いて,つぶしてから食べるのが好き」とのたまった.パン圧縮派にも様々な分派があることが確認された朝のひとときであった.しかし,メロンパン(神戸出身の僕としてはサンライスと呼びたい)を圧縮したら,表面のクッキー生地がこなごなになりそうやな.