あの白い花の正体

 学生の卒業研究の調査につきあって島の南へ行く。広田から倭文に向かう丘陵地の二次林で、樹冠いっぱいに白い花を咲かせた木が点在しているのに気づく。いま、島の北ではマルバアオダモが白い花をたっぷり咲かせているが、それとは色味がちがう。マルバアオダモは少し黄緑がかった涼しげな白。対して、広田以南で目立つこの花は少し赤みを帯びたむせるような白。
 この白い花を2001年の今頃にもこのあたりで見たことがある。あのころ僕は博士課程の学生で、自分の調査地である徳島へ向かう途中、本四道路を走りながら眺めていた。それからずっと気にはなっていた。それで、今日の調査がおわってから、白い花を探してうろうろしてみた。たまたま道端に生えている1本を見つけた。かなり黒い樹皮。花は樹冠の上の方にしかついていなくて手が届かない。隣に生えていたウバメガシに登り、鉤型にした折れ尺で花のついた枝を手繰り寄せ、手折った。
 正体はクロバイだった。少し赤みがかって見えたのは花序の軸の色だろうか。淡路島にこんなにたくさんクロバイがあるとは知らなかった。ちょっとびっくりした。
 帰路、高速道路から周囲の二次林をながめてみたが、洲本インター以北ではないように思う。少なくとも津名一宮インター以北では見なかった。

[追記2016.4.22]北淡にもあるかも。うちの近所にそれっぽいの、ある。たしかめにいかねば。
 


丘陵地の二次林内に点在
 

クロバイだった