淡路島一の宮の社叢

 夏に伊弉諾神宮でフロラと植生を調べたので,その結果を学内紀要に資料として提出するためにまとめている.現在の社叢は林高22m程度で,胸高直径約80cmのイヌマキや同約65cmのスダジイクスノキなどが林冠層をつくっている.みたところりっぱな照葉樹林だ.しかし,明治26〜27年(1893〜1894年)に出版された「淡路国名所図絵」をみると,この御社の杜は松林として描かれている.境内の「大楠」はしっかりと広葉樹らしい姿で描かれているところをみると,社叢は本当に松林だったのだろう.今回のフロラ調査では約70種を記録したが、このうち木本はほとんどが被食動物散布型だ.
 旧東浦町の松帆神社の社叢もシイ林だが,これも古い絵図をみると松林として描かれている.淡路島の平地の社叢は明治時代には松林なのが普通だったのかも.
 
 あれ?「淡路国名所図絵」は明治26-27年のものと昭和9年のものが世に出回っているようだ.編著者はおなじらしいから昭和9年のが復刻版なのだろうか.ちゃんと把握しなくては.