ダブルスタンダード

 議論をする際,発言内容と人格は分離する.批評の対象はあくまでも内容であって,人格ではない.
 この切り分け,学部生のころは知らなかったけど,いつだったかこれを知って,すばらしいと思った.批評がこわくなくなったし,議論では何をいわれても腹がたたなくなった(たまに少しだけムカついたり落ち込んだりはするけど,感情的にはならない).内容と人間を分離することで,冷静に論理的に意見を交わすことができ,自分の意見を修正することに抵抗がなくなる.それによって,議論をする前よりも高みに登ることができる.
 批評する側も,される側も,内容の批評と人間の批判を混同してはいけない.これは基本中の基本ルール.
 ……それはそうなんだけどね.
 ……そんなことは百も承知なんだけどね. 
 研究や発言の内容を肯定的に評価してもらえた時って,僕,自分自身がほめられたような錯覚をしてしまうんですよねぇ.そこは冷静に,ほめられてるのは自分じゃない,内容だ,って理解しないといけないのにねぇ.
 それから,おもしろい研究してる人に対しては,研究の内容だけじゃなくて,僕,その人の才能を,めいっぱい賞賛してしまうんですよねぇ.よくそんなこと思いついたなあとか,センスいいなあとか,その人を称えたくなってしまうんだよねぇ.キラキラしている人を称えたくなる気持ち,わかるでしょ?
 悪い時だけ分離して,いいときは混同するだなんて,のんきな二重基準.まったく,僕はおめでたいのう.長生きするよ,きっと.
 というわけで,僕にほめられたことのある皆様へ.
 
 ほめてますから.全力で!