いままでと何かが違う選挙

 今回はいままでにない感じの選挙だった。


 小選挙区では、自分が投票した候補者が落ちてしまえば、投じた一票は結果的になんの価値もない一票になる。いままではそれでもそんなには気にはならなかった。「通りそうなひとたちのうち、だれが通っても大差ない。だれが通っても、よくもわるくもならないさ」という気楽さがあった。だから、自分の一票が無駄になるとわかっていてもそれを承知の上で、もっとも自分の考え方に近い人を選んで投票してきた(その人がどんなに不人気であったとしても)。
 今回はちがった。「通りそうな人のうち、だれがとおってもよくはならないさ」という点ではこれまでと似ていたが、それに加えて「彼がとおったらえらく悪いことがおこるかもしれない」という不穏な感じがただよう点がいままでと異なっていた。自分にとってはこのような選挙ははじめてだった。(自治体によっては近年そういう経験をしたところもあるようだが)
 今回は「自分の考え方に近いが通りそうにない候補者」に投票するのはやめた。「通るかもしれない人のなかで少しでもマシな候補者」に入れるしかなかった。「世の中を悪くするおそれのある候補者」へのカウンター票として。なにか、毒を飲むような気持ちをかかえながら。
 いまの選挙のしくみは民意を十分に反映できない、というのはよく聞く話。もうすこしコストがかかってもいいから数学的にみてもっとも民意を反映できる選挙制度を構築してほしいものだ。選挙速報をみて、落選する候補者に投じられた票のパーセンテージが消して小さくはないことをみるにつけ、そう思う。